闇と静寂の降霊術「ひとりやみなべ」の進め方と注意点

「ひとりやみなべ」とはどんなものなのか


男性「ねぇ、ひとりやみなべって知ってる?」

女性「よく知らないけどなんか噂で聞いたことある。」

このような会話を耳にしたことはありませんか?
少し前までは知ってる人は知ってるというくらいでほとんど聞くことがない言葉でした。
ですが最近になって話が広まってきたのかたまに電車の中や街中でも「ひとりやみなべ」という言葉を耳にするようになりました。

冬を代表する料理である鍋を暗闇で行うのが闇鍋です。そしてその闇鍋を一人で行うのが「一人闇鍋」です。
闇鍋とは元々誰が何を入れたか分からないというスリリングかつ楽しい鍋です。
それを一人で行うということは何の食材が入っているか分かるためスリルも楽しみもありません。

ではなぜ「ひとりやみなべ」というものが行われるのでしょうか。
それは暗闇の中で開催される楽しい鍋にはある来客が訪れると言われているからです。

そう、幽霊や怪物、怪異などのこの現世に在らざる者達が。

今回はこの「ひとりやみなべ」のやり方や注意点についてお話ししていこうと思います。

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ひとりやみなべ(一人闇鍋)を行うために必要なもの

巷で噂になっているこの世に在らざる来客を喚ぶ料理もとい儀式「ひとりやみなべ」を行うには必要なものがいくつかあります。

ひとりやみなべの進め方を説明する前にこれら用意しなくてはいけないものについてお話ししておきましょう。

・鍋

闇鍋というのですからもちろん鍋が必要です。
なにも土鍋でなくてはいけないという訳ではありません。非磁性体である銅やアルミの鍋でもかまいません。逆に強磁性体である鉄の鍋は来客が嫌がる可能性があるので使うのは避けましょう。

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しかしせっかくの鍋なので美味しく頂きたいのであれば土鍋を使うことをお勧めします。

・熱源

鍋を作るのには熱源が必要です。カセットコンロが一番手頃で良いと思います。
ですが火は灯りにもなりますので完璧な闇を作り出すためにIHのコンロを使うのが今の時代では得策ではないかと思います。

逆に炎の大きな囲炉裏などはひとりやみなべには向かないという事ですね。

・場所

ひとりやみなべを行う場所はどこでも結構です。
リビングでも台所でも自分の部屋でも構いません。ですが条件は「暗闇」が作り出せるということです。用意できるのなら遮光カーテンなどがあると便利ですね。

慣れればギリギリ手元が分かるくらいの明るさでも行うことは可能なのですが始めは目の前に誰かの顔があっても分からないくらいの暗さの方が安心出来ると思います。

・食器類

ひとりやみなべに必要な食器類は「取り皿」と「お箸」、「おたま」と「菜箸」そして「グラス」だけです。

しかし取り皿とお箸とグラスは必ず二人分用意してください。おたまと菜箸は一つずつで結構です。

やはりこれらも鍋と同様に強磁性体の鉄製のものは使わないようにしましょう。
もしどうしても鉄製のおたましかない場合は持ち手がプラスチックかシリコン製の物を使いましょう。それもない場合は持ち手に絶縁体を分厚く巻いて直接鉄に触れなくても良いようにしておきましょう。

・食材など

鍋に入れる食材に関しては好きなものを用意して頂いて大丈夫です。
ただどのような鍋にするかなのですが「ひとりやみなべ」には水炊きがベストです。

と言うのも来客はたとえ水に溶け込んでいても塩を苦手とする場合がありますので調味料を使わない水炊きが最善だと思います。
何か物足りないと思われるなら鶏や昆布で出汁を取るのも良いでしょう。
間違っても鍋に塩は入れないようにしてください。

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ちなみにつけだれに関してはポン酢でもごまだれでもお好きなものをどうぞ。

・テーブルとイス

鍋をするためにはテーブルが必要です。一人用のテーブルでも問題ありませんが必ず対面もしくは隣に人が座れるスペースを作って配置してください。
もちろんイスは2つ用意しましょう。ローテーブルを使う場合は座布団か座椅子を2つ用意してください。

もし床で鍋を行う場合にも座椅子もしくは座布団が2つ必要になります。


以上がひとりやみなべをするにあたって必要なものになります。これらのものを用意出来たら次はやり方について順を追ってお話ししていきましょう。

闇の中の降霊術「ひとりやみなべ」の進め方と終わらせ方

さて、ひとりやみなべに必要なものは用意出来たでしょうか。

それでは進め方について順にお話ししていきましょう。

1.鍋や食器を配置する

テーブルを部屋の真ん中に置きます。そしてテーブルの上にコンロを配置します。
次にコンロに水もしくは出汁汁を入れた鍋を置きます。
鍋の隣には食材を入れたお皿を置きます。

次に食器類ですがおたまと菜箸は鍋の横に置きます。おたま用の器や箸置きは好きなものを使って頂いて大丈夫です。

次に自分の座る場所を決めてイスを配置します。取り皿とお箸、グラスは自分の前に一組置きます。さらに鍋を挟んだ対面にもう一組を置きます。そこにイスもしくは座椅子を配置しておきます。

床で行う場合も配置は同じです。もしテーブルの性質上対面に置くのが難しいのであれば自分の隣でも問題ありません。

2.部屋を暗くする

鍋と食器の配置が終わりましたら次は部屋を暗くしましょう。
アドバイスとしては部屋を暗くする前にコンロの火を点けておきます。暗闇でコンロを操作するのは少々危ないですからね。

そして出来る限りテーブルの上の配置を頭に入れておきましょう。さらに言うなら食材の細かい量も覚えておくと尚良いです。

部屋を暗くしたらまず光が射し込んでいないかを確認して問題なければ自分のポジションに座ります。
次にコンロの火を極力周りが見えないながらも鍋に支障のない火力に調節します。

3.一人で鍋を作る

ここからひとりやみなべがスタートです。
暗闇の中で鍋を作るわけですが水炊きに関しても地域によって食材を入れるタイミングや順番が違うと思います。
ですので鍋を作る行程に関しては自由に進めて頂いて結構です。

ですがこの鍋を作る行程からは極力静かに行うと共に決して声を発してはいけません。
闇と静寂の中で鍋が出来上がるのを待つのです。

4.黙々と鍋を食します

さて、鍋が出来上がりました。それでは食していきましょう。
この時も出来るだけ静かに食します。もちろん声を発してはいけません。
もちろん暗闇ですので火傷には注意してください。

そのままただ黙々と食します。その空間には鍋の煮える音とあなたの食器の音にあなたの咀嚼音だけが聞こえます。

5.周りに意識を集中してみる

暗闇の中で聞こえるのはあなたが発する音だけです。
ですが食しながらよく周りの音に耳を傾けてください。周囲に意識を集中してみてください。

対面から食器の音やイスの軋む音が聞こえませんか?

あなたが置いたお玉や菜箸が動いていたりしませんか?

何故か鶏肉が減ったりしていませんか?

このような事が起きれば「ひとりやみなべ」は成功です。
ですが成功の余韻に浸っている場合ではありません。あなたの対面に居るのはこの世に在らざる者です。

ちゃんとした終わらせ方をしなければなりません。
次に話すことだけはしっかりと守ってください。

6.「ひとりやみなべ」の終わらせ方

闇と静寂の降霊術「ひとりやみなべ」が成功したとはいえ終わらせ方を知らなければ何が起こるか分かりません。

ひとりやみなべの終わらせ方はいくつか手順がありますが至極簡単です。

まずは食材を全て食べきります。
次に両手を合わせて心の中でこう唱えます。

「ごちそうさまでした」

これで無事にひとりやみなべを終わらせる事が出来ます。

こちらが一通りの流れになりますがひとりやみなべにはいくつか注意点があります。
最後にそこだけお話して終わりにしようと思います。

「ひとりやみなべ」を行うにおいての注意点

美味しい降霊術「ひとりやみなべ」には実は注意点がいくつかあります。
最後にそれを伝えておこうと思います。

・午前0時以降に準備を始めない

こういった儀式によくあるのは日の変わる午前0時に行うというのがありますが「ひとりやみなべ」は別です。
ひとりやみなべを行うのに最適な時間は午後11時あたりです。
鍋は準備から出来上がりまで時間が掛かるものです。午後11時あたりから準備を始めるとちょうど午前0時あたり食す事が出来るという訳です。

ではなぜ午前0時から準備をしてはいけないのか。それは準備から食べ終わるまで時間のかかる一人闇鍋は人によっては午前2時を越えてしまうからです。
午前2時から午前2時半は俗に言う「丑三ツ時」です。この時間に差し掛かってしまうと何が起こるか分かりません。ですので遅くとも午前0時には食べ始められるようにしてください。

・食器やイスは自分の分をいれて二組だけ用意する

一人闇鍋に使う食器や椅子は二組だけにしてください。三組以上用意すると鍋を巡り来客同士が喧嘩し始める可能性があるからです。

・慣れるまでは真っ暗な中で

暗闇で行う訳ですが少しでも光があると目が暗順応によってうっすらと見えてきます。
もし目が慣れて周囲が見えてきた際にあらぬものが目に入り思わず声が出てしまうのを防ぐためです。

・対面を凝視しない

あなたは人に見られるとどう感じますか?好意を寄せる相手に見られるのなら嬉しいでしょうがそうでない相手にならあまりよく思わないでしょう。
対面に居る相手にとってもきっと同じです。暗闇なのであなたには見えていませんが向こうからはしっかりとあなたが見ている事が見えています。

もしあなたが対面を凝視していて目が慣れてきた時にすぐ目の前に来客の顔があったら思わず声が出てしまうでしょう。
これを防ぐために出来るだけ視線は手元に向けておきましょう。

・「ごちそうさまでした」は心の中で

ひとりやみなべの終わらせ方である「ごちそうさまでした」は必ず心の中で唱えましょう。
成功の喜びから思わず声に出して唱えてしまうと「ひとりやみなべ」は終わりを迎えない事になるでしょう。

ここまでが「ひとりやみなべ」の注意点です。
危険の伴う闇と静寂の儀式をあなたも実践してみてはどうでしょうか。





男性「ねぇ、ひとりやみなべって知ってる?」

女性「知ってる。友達の先輩が試してみたらしんだけど……」

いつか街中でこんな会話が聞ける日が来るのでしょうか。

それでは今夜はこのあたりで。

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