闇の中で味覚と嗅覚を研ぎ澄ませ「闇鍋」と声

「闇」の中では視覚が奪われるが他の感覚は鋭敏になる

夜目の効く動物は数多くいます。しかし人間の持つ目は暗い場所ではほとんど物を見ることが出来ません。

夜が訪れ世界が闇に包まれるとまともに身動きすら取れなくなるのです。
そのため人は古来光を求めてきました。

朝を告げる太陽を崇めるのもそのためでしょう。そして人はいつしか火を明かりとして使うようになります。
そして長い時を経て人は電気を使い光を灯す術を見つけます。

これはきっと光を求める人間だからこそ成し得たことなのでしょう。

しかし人は実際に光のない暗闇に身を置くとどうなるのでしょう。

皆さんは寝るときに部屋を暗くするたいぷですか?
部屋を暗くするという人は何か体に変化は感じませんか?

きっとあまり変化はないでしょう。それは部屋という空間に守られているからです。

その変化が起こるのはある条件が揃った時です。
例を出すなら「寝るときに怖い映画やテレビ番組を思い出してしまった時」などですね。もっと簡単な例でしたら「お化け屋敷」でしょうか。

このように暗闇という視覚の悪い状況と不安や恐怖などの負の感情が重なる条件下では人の体にある変化が起こります。

それは視覚以外の五感つまり聴覚や嗅覚、触覚などが鋭敏になるのです。
部屋で不安と闘いながら眠りに就こうとしていると普段なら気にもならないちょっとした物音に反応してしまうことがありますね。

あれがまさにそれなのです。現に女性は身の危険を感じると聴覚と嗅覚が劇的に敏感になると言われています。

このように五感と暗闇というのは実は関係性の深いものなのです。

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「鍋」は出来上がるまでに時間がかかるが味覚に至福の時間を与えてくれる

日本には四季があります。「木々の芽吹く春」から「新緑の夏」に「紅葉の秋」と来て「冬」がやってきます。

人は活動するためのエネルギーを食物から取り入れます。
この食物をエネルギーに変えるシステムも実はすごい事なのではないかと思うのですがそれはまた別のお話です。

そして食物によってはその季節でしかあまり食べられないものもあります。
その一つが冬の「鍋料理」ですね。時には暑い夏に食べる熱い鍋というのも良いものですが。

鍋料理というのは作るのに時間がかかるものです。幼い頃には出来上がるまでの時間がじれったく感じたものです。
しかし年を重ねる毎に美味しい鍋を作るためには時間がかかるものではないかと感じるようになってきました。

時間と共に具材のダシや旨味が染みだして鍋をより美味しいものにしてくれる。グツグツコトコトと煮える音はそれを伝えてくれているのではないかと。

そして時間を重ねて出来上がった鍋はきっと味覚に至福の時間を与えてくれるものになるのでしょう。

さて、それではそんな「鍋」と「暗闇」を掛け合わせると一体どうなるのでしょうか。

「闇」と「鍋」が合わされば視覚以外の感覚に至福の時間与えてくれる??

視覚を奪い他の感覚を研ぎ澄ましてくれる「闇」と時間を費やしながらも味覚に幸福を与えてくれる「鍋」が合わさるとどうなるのでしょう。

まぁ、それはいわゆる「闇鍋」と呼ばれるものですね。

まずは闇鍋について簡単に説明していきましょう。

始めに鍋をするメンバーで思い思いの食材を持ち寄ります。
もちろんこの時何を持ってきたかは周りに知られてはいけません。

そしてテーブルに鍋と食器を並べてから部屋の電気を消して暗闇を作ります。

その後鍋に持ち寄った食材を入れます。どの時点で火を点けるかは皆で決めましょう。
暗闇のなかで沸騰したところに食材を放り込むのは少々危ないですからね。

あとは鍋が出来上がるのを待ちましょう。
この時会話をするかしないかは自由ですが食材に関する話題は出来るだけ避けるようにしましょう。

鍋が出来上がったらここからが闇鍋のスタートです。
暗闇の中で鋭敏になった味覚で存分に鍋を味わいましょう。

というのがオーソドックスな闇鍋の流れです。しかし実は少々気を付けなければいけないこともあります。
それは事前にメンバーのアレルギーくらいはしっかりと確認しておきましょう。
せっかくの鍋が悲劇につながらないように。

さて、簡単に説明しましたが話を少し戻しましょう。
暗闇は味覚を鋭敏にします。ですがさらなる味覚の高みに辿り着くには条件が足りませんね。

そう、不安と恐怖です。いくら暗闇だとはいえ鍋を囲むメンバーへの信頼感が味覚を鈍らせるのです。
そこで闇鍋の最大のルールが力を発揮します。

それは「ルールを作らない」というルールです。
誰が何を入れたか分からない。それがどんな味を生み出すのか分からない。それが自分にどんな影響を及ぼすのか分からない。
これらが味覚を極限まで高めてくれるのです。

そういえば鍋の話の時に言い忘れていました。
鍋にはもうひとつの醍醐味があります。それは鍋が出来上がるまでの時間です。
一つのテーブルを囲む時間というのは囲む人間の絆を深めてくれます。

いつもと変わらぬ会話、いつもとは違う会話、そしてそこに現れる笑顔や泣き顔などの喜怒哀楽。

しかし闇鍋では相手の顔は見えません。動く際の音と相手の声で認識するしかありません。
逆を言えば相手の発する声や音がよく聞こえるということです。

暗闇の中だからこそ普段は聞こえない小さな声も聞いてあげることが出来るのかもしれません。

もしかすると今日も何処かで闇鍋が行われているかもしれません。

ただこの世に在らざる者は暗闇を好み賑やかな場所を好むと言います。
暗闇の中あなたの耳に届いているのは本当に鍋を囲むメンバーの声なのでしょうか。

それでは今夜はこのあたりで。

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