「覚(さとり)」常に先を読む人の心を読む妖怪

「サトリ」という妖怪と人の心

いくらインターネットが発達して自宅に居ながら世界中の人と交流が可能だと言ってもそこはやはり人と人との対話ややり取りが大切なのはこの社会では変わりません。
人との関係の中で気に掛けなければいけない事ははたくさんありますがその中でも相手の気持ちを考えるというのは大切な事です。
最近ではメンタリストと呼ばれる人達が現れるようになりました。さらに読心術と言われるものは昔から存在します。
あとは行動心理学など視線の動きや体の変化などから相手の気持ちを察したり心を読むことは可能かもしれません。ですがこのような技術を身に付けていない人にとって人の気持ちを汲み取るのは大変難しいことだと思います。
ですが人の心を読み取る事が出来る妖怪が実はいるのです。
その怪異は「覚(さとり)」と呼ばれるもので日本全国に目撃情報が残っています。
今回はその心を読む妖怪「覚」についてお話ししようと思います。

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「覚(さとり)」とはいったいどんか妖怪なのか

伝説によれば飛騨の山奥に「覚」はいるとされています。
安永に刊行された「今昔画図続百鬼」の雨の部には
「飛騨美濃の深山に玃(カク)あり」
と記載されています。このカクという文字はけものへんに矍と書く漢字なのですが「やまこ」とも読みます。これは中国の伝説にある動物「玃」のことです。
しかし玃はとくに人の心を読むようなことはありません。
飛騨美濃に現れる妖怪「覚(さとり)」は同じく飛騨の妖怪「黒ん坊」と同じものだとされています。
そしてその黒ん坊は先程話した玃に似ているそうで玃の類いではないかと言われているのです。

さて、話が少し逸れましたが話を戻しましょう。
覚は山中で人を待ち伏せています。そして通りかかる人の心を読んで相手を動揺させます。
そして人間が驚いている間にとって食べてしまうという妖怪です。
人の心を読むというだけでも恐ろしい妖怪なのにそれをしっかりと自分の武器として使いこなしているのであれば太刀打ち出来る気がしません。
しかしご安心を。実は覚は突然起こる事象に弱いのです。詳しく言うなら木々が倒れたり雷が鳴るなどの自分の予測できないような事に驚いて逃げていくそうです。文献にはこんな話が残っています。

ある旅人が夜に覚に出くわします。男は心を読まれて自分の中が恐怖でいっぱいなのを覚られてしまいました。
このままでは食われてしまうと思ったその時です。
焚き火にくべてあった竹が破裂したのです。その音に驚いた覚は一目散に山に逃げ帰ったというお話です。

これで覚から身を守る方法はわかったと思います。
しかしその方法を実践するのが難しいのです。なぜならその突然起こることはあなたも予想だにしないことでなければいけないのですから。あなたが用意したトリックや事象なら心を読まれてばれてしまいます。

自分ですら知らない驚きを自分で用意する。
なんだかトンチのようですね。ですが人の心を読む相手の裏をかくにはそれしかないのです。その駆け引きを制さなければ妖怪の餌食になってしまいます。
さて、あなたはどんな驚きを用意するのでしょう。
それでは今日はこのあたりで。

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