「ベルゼバブ」気高さを失い蝿の王へと堕ちた君主

「ベルゼバブ」蝿の王へと堕ちた最高神

地中海に近い場所に約束の地とよばれている地域があります。
その地域はカナンと呼ばれるその地域に住む人々カナン人に崇められている
神々の中に嵐と恵みの雨を司る神様がいます。
その神様の名は「バアル」といい恵みの雨を降らせることから豊穣の神とも崇められてきました。
残念ながら少し前に破壊されてしまいましたがシリアのパルミラにあるベル神殿の中でもかなり高位に位置する神様でした。

彼らカナン人はバアルのことを敬い「バアル・ゼブル」つまり「気高き主」と呼び崇めていたのです。
時は流れこのカナンの地にヘブライ人が入植してきました。
ヘブライ人はあろうことかバアル・ゼブルを邪教の神だとして語呂の似ている「バアル・ゼブブ」つまり「蝿の王」と呼んだのです。
神は人々の信仰により力を得ます。人々が邪教の神だと信仰すれば最高神といえど邪教神となってしまうのです。

こうして「バアル・ゼブル」は気高さを失い蝿の王「バアル・ゼブブ」となったのです。
バアル・ゼブブは時代や地域よってベルゼバブ、ベルゼブブ、ベルゼビュートといろいろな名前で呼ばれますがどれも同じで「糞の王」「蝿の王」という意味を持っています。

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蝿の王「ベルゼバブ」サタンをも凌ぐと言われるその力

カナンの最高神だったベルゼバブは一体どのような存在なのでしょうか。

グリモワールと呼ばれる魔術書によると魔界の王サタンの次に邪悪で罪深い存在とされています。
しかし総合的な実力ではサタンと同等もしくはサタンをも凌ぐ力を持っているそうです。
故にサタンが魔界の王と呼ばれているのに対してベルゼバブは魔界の君主と呼ばれているのです。

ベルゼバブの体はとても大きく頭には角が二本生えています。ライオンの尻尾を持ち足はアヒルの足だそうです。

真っ黒な全身ですが頭には真っ赤に燃える帯を巻いていて怒ると炎を吐きます。鳴き声は狼とも豹とも言われていて時折豹に変化する描写も記されています。

神の力を持つ悪魔「バアル・ゼブブ」

ベルゼバブはかつて天界ではルシファーの部下として支えていたという話も残っています。
悪魔に堕ちたとはいえ元は最高神だったバアル・ゼブブには悪魔の力だけではなく神の力も備わっていたと考えられています。

蝿から作物を守ってくれるとも言われていて人を癒す力も持っていると言われていました。
ですがこれらの神の力を持っていることが記されているのは旧約聖書までです。

新約聖書になるとベルゼバブは純粋な悪魔として登場します。悪魔や悪霊を統括する君主とされているのです。

彼を最高神から悪魔の君主へと堕としたのはきっと人々の信仰心なのでしょう。

それでは今夜はこのあたりで。

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