秋の夕暮れを群れで飛ぶ赤トンボ
日が沈むのも早くなってくる秋の夕暮れ。目の前に広がる草原と涼しくも少し冷たく感じる風になびくススキの穂たち。
そこに何かを求めるように群れで飛び回る細く赤い体を持つ赤トンボたち。
今はもうほとんど見ることが出来ない光景になりましたが夕焼けに照らされた赤い体はさぞかし綺麗に見えたのではないでしょうか。
それでは今夜は赤トンボのお話です。最近は本当に見かけなくなりましたが夕暮れに群れで飛び回る赤トンボは主に「アキアカネ」と呼ばれる種類のトンボです。
トンボ科アカネ属に属するトンボですが秋に現れるためにアキアカネと名付けられています。アキアカネの特徴は何と言ってもその体の色です。オスとメスで少し違いますが綺麗な赤色をしています。自然界に赤色はたくさんありますがなぜアキアカネはあえて目立つ赤色になったのでしょう。
赤色の持つ力と自然界での赤色
「赤」は「光の三原色」にも「色の三原色」にも含まれている色です。様々な色を作り出すために必要な色であり自然界においても重要な色です。
自然界にある赤色のほとんどは危険を知らせるための警戒色です。毒を持つキノコに毒を持つ魚や蛇など自分は危険だから手を出すなと言わんばかりのアピール力を持っています。
人間は色を見分けるために目に錘体細胞というものを持っています。この錘体細胞は赤錘体、青錘体、緑錘体と言うように識別する色が分けられているのですが赤錘体だけは青錘体や緑錘体よりも数が多く赤色に対する感度が高くなっています。
これはもしかすると人間が進化するなかで警戒色をよりはっきり見分けられるように赤色に対する感度を上げていったためなのかもしれません。
しかし赤トンボたちは毒を持ってはいませんしさほど危険な存在ではありません。ではなぜ赤トンボは赤いのでしょうか。
風水における赤色と生きるための想い
風水の世界では「赤」は「生命力」を意味します。そして「赤」という色の持つイメージとしては「情熱」や「執念」でしょうか。
風水の世界だけでなくても赤色にはどこか力強さを感じさせられます。
人間や動物は長い年月も行き続けることが出来ます。 しかし赤トンボはそうはいきません。成虫になってから空を飛び回れる期間はとても短く儚いものです。
そんな儚くも短い時間を生きる情熱と生命力を表しているのがアキアカネの赤色なのかもしれません。
赤を身にまとう勝ち虫「赤トンボ」
以前もお話ししましたがトンボは古来より縁起の良い虫だと言われてきました。害虫を補食してくれるという面でも人にとって良い影響を与えますが縁起が良いと言われている理由は飛びかたにあります。
トンボの飛行性能は大変高く旋回やホバリング(空中停止)も自由自在です。しかしトンボは絶対に前にしか進みません。
「後に退かない」というところから勝負強さや勝利の象徴とされてきたのです。
「勝ち虫」と呼ばれ敬愛されているトンボですが赤トンボと呼ばれるアキアカネの最大の特徴である赤色。
赤を身にまとうことによりアキアカネは他のトンボたちよりも人の心と記憶に強く残ることが出来たのです。
短く儚い人生の中で周りに溶け込み生きていくのも大事かもしれませんが時にはいつもと違ったものを身にまとうのも良いかもしれませんね。
ちなみにこのアキアカネにはもうひとつ特徴があります。トンボはどこかに止まって休むときには羽を水平にするか蝶のようにたたんだりします。
しかしアキアカネは羽を水平ではなく少し下に下げた状態で休みます。赤いトンボはアキアカネだけではありませんがこれがアキアカネを見分ける一番の特徴だと思います。
時に普段と違った自分を身にまとうのもいいですが「あなた」の中にある「あなたらしさ」はいつまでも忘れないでください。
それでは今夜はこのあたりで。