「日和坊」てるてる坊主の由来となった晴れを司る妖怪

てるてる坊主の起源と由来

夏休みに入って暫くすれば本格的な夏が訪れます。夏と言えば山に川そして海など自然を楽しむレジャーですね。
もちろん山にはハチや動物などがいますし海でもクラゲなどの海洋生物による危険は潜んでいます。しかしこういった危険そのものよりもレジャーそのものを台無しにしてしまうものがあります。
それが雨です。行った先で雨に降られてもどこか諦めのような気持ちになりますが現地に向かう日の朝から降る雨はレジャーそのものをなくしてしまいます。これではしっかりと準備していた人は諦めどころか悲しい気分になってしまいます。
前の日から楽しそうに準備している子供達。そんな子供の笑顔を奪ってしまう雨。
そんな雨が降らないように作られたもの。正確には晴れを願って吊るされるものが「てるてる坊主」です。
てるてる坊主を軒先に吊るすというのは今ではあまりやらないかもしれませんね。ですがこの風習は意外に古くから伝わるもので江戸時代にはすでにおこなわれていたそうです。

現在のてるてる坊主は布やディッシュペーパーに丸いものをくるみ絞ってつくります。
ですが初期のてるてる坊主は紙を人形に折って作られていました。しかもそれを半分に切ったり逆さ吊りにしたというのですから祈願というよりは呪詛に近いものだったりもするのかもしれません。

実はそんなてるてる坊主にも由来はあります。
それはある妖怪から来ているのですがなんとその妖怪は晴れを司るのです。晴れを司ると言われるとあまり妖怪っぽくないですが歴とした妖怪です。
その妖怪の名前は「日和坊(ひよりぼう)」と言います。晴れた日の山に現れるのですがもちろん雨の降っているときには現れません。
東日本では聞き慣れませんが西日本では「てるてる坊主」の事を「日和坊主」とも呼ぶそうです。ですので西日本の方はこの「ひよりぼう」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんね。

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「日和坊」と「魃」日本と中国に伝わる伝承

日本に伝わる晴れを司る妖怪「日和坊(ひよりぼう)」は晴天の日の山に現れるそうです。
実は中国にも晴れを司ると言われる怪異の話が伝わっています。
その名前は「魃(ばつ)」と言います。この魃はいくつか伝承がありますので順に紹介していきましょう。

「魃」という名の怪物

中国には魃(ばつ)と呼ばれる怪物がいるそうです。
体はそれほど大きくなく猫と同じくらいでしょうか。とても動きが早く文献では風のような動きと記されています。
この怪物が現れると川は干上がってしまい農作物に大打撃を与えるそうです。
ちなみにこの怪物「魃」はトイレに投げ込まれると命を落とすそうです。

究極の晴れ女「魃」

中国に伝わるもう一つの魃に関する伝承は「魃(ばつ)」という名の女性の話です。
彼女は女神であり体にとてつもない熱を溜め込んでいます。彼女はある戦いで風雨を司る相手に対抗するために呼ばれたのですが戦いの際に力を使いすぎて天に帰れなくなったそうです。
地上に残った彼女は力を使いすぎたとは言え自然と干魃を引き起こします。なにせ彼女がいると全く雨が降らないのです。
しかし女神である彼女を殺すわけにもいかずに山に幽閉したそうです。

日本に伝わった「魃」

日本にも魃(ばつ)の話は伝わってきます。そしてその名前は魃(ひでりがみ)となるのです。
魃(ひでりがみ)は獣の体と人の顔を持つ怪物で手足が一本ずつだそうです。そして動きは風のように早く山に住んでいるのだそうです。
この特徴から日本に伝わってきたのは中国の怪物「魃」の伝承なのでしょう。
てるてる坊主の由来は日和坊ではなくこの魃だとも言われています。
同じてるてる坊主でも「日和坊」のもたらす「日和(ひより)」と「魃」の「日照り(ひでり)」では大違いです。
ポカポカと温かい日和と刺すような日射しが降り注ぐ日照り。
あなたが用意したてるてる坊主はどちらをもたらしてくれるのでしょうか。
夏はまだまだこれからです。熱中症にはご注意を。

それでは今日はこのあたりで。

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