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三千世界がどこにあるのか考えてみよう
江戸後期に高杉晋作という名の長州藩士が居ました。
彼は様々な功績を残した訳ですが残したのは功績だけではありません。
高杉晋作は数々の名言や格言も残しています。
都々逸というものをご存じでしょうか。都々逸とは江戸時代後期に寄席などで楽しまれた詩のようなものです。
主に七・七・七・五や五・七・七・七・五といった音数律で吟われます。
俳句や短歌に似ていますね。五と七の組み合わせは日本人にはとても耳当りの良い音数なのかもしれませんね。
さて、この都々逸は主に男女の恋愛について歌われることがおおのですが先程話した高杉晋作が残したのではないかと言われている都々逸があります。
「三千世界の鴉を殺し主と朝寝がしてみたい」
朝方鳴き声の喧しい鴉を殺してでもあなたとゆったりとした朝を過ごしたいという意味でしょうか。
しかし鴉を殺すとは物騒な歌ですがそのあとの愛らしさに少々ギャップを感じます。
そしてこの都々逸の中にとても気になる単語があります。
それが「三千世界」という単語です。三千世界とは一体どんな世界なのでしょう。一体どこにあるのでしょう。
それでは三千世界について説明しながら三千世界の在るところを考えていこうと思います。
三千世界とはどんな世界なのか
三千世界がどこにあるのかということよりもまず三千世界がどんな世界なのかお話していこうと思います。
三千世界とは三千大千世界の略式です。そして三千大千世界は一人の仏様が見守る世界のことです。
九山八海という言葉を聞いたことがないでしょうか。
須弥山(しゅみせん)と呼ばれる山があります。この山は世界の中心に在ると言われている聖なる山です。その周りを七つの金の山と鉄囲山(てっちさん)がとりまいていると考えられています。そして山の間にはそれぞれ海があります。
九つの山と八つの海これがつまり「九山八海」なのですね。
さて、そんな「須弥山」に東勝身洲、南贍部洲、西牛貨洲、北倶盧洲の「四大洲」と他化自在天、化楽天、兜率天、夜摩天、忉利天、四大王衆天からなる「六欲天」を合わせます。
さらに十二天が一人で天を護る「梵天」や「日」や「月」などを合わせたものを仏教では「一世界」と呼びます。
この一世界が1000個集まると「小千世界」となり小千世界が1000個集まると「中千世界」になります。
さらに中千世界が1000個集まることにより大千世界となるのです。
そしてこれらの世界を総称したのがタイトルにもある「三千世界」なのです。
三千世界には1000×1000×1000つまり10億もの須弥山があります。
ここまでくると分かるのですが三千世界とは想像も出来ないような大きさを持った世界なのが分かりますね。
そろそろ説明に没頭しすぎて本来の目的を忘れてしまいそうなので話を戻しましょう。
膨大な大きさを持った三千世界は一体どこに在るのかということですね。
いろいろ考えてはみましたがまだ勉強不足なのか何も思い浮かんできませんでした。
ただ先程紹介した都々逸「三千世界の鴉を殺し主と朝寝がしてみたい」に出てくる三千世界については少し分かったかもしれません。
都々逸は男女の恋愛について吟われるものです。
この都々逸に詠まれた三千世界はきっと二人の心の中にある二人だけの世界なのではないでしょうか。
だって恋は盲目なのですから。
それでは今夜はこのあたりで。