「虎」は名声や品位の象徴とされる動物
世の中には多くの危険が潜み虎視眈々とあなたを狙っています。そして人はその経験から周りにその危険を知らせます。
交通標識や踏切などにある通行を遮断するバーもそうです。さて、踏切にある遮断バーは黄色と黒に塗られています。
実はこの「黄色と黒」の組み合わせは警戒色と呼ばれ人に危険を知らせる色と言われています。
ただ人が作ったものでなくとも自然界にもこの「黄色と黒」の組み合わせは存在します。
スズメバチなどが良い例ですね。スズメバチは警戒色をした自分が危険な存在だと周りにアピールするためにこの配色なのです。
ですがスズメバチは人が警戒色という組み合わせを作るよりも前からこの地球上にいたはずです。ということはこの警戒色は人が作り上げたものではなく人の本能に訴えかける色なのでしょう。
前置きが長くなりすぎましたが今回はこの警戒色を持つ動物のお話しです。
冒頭で「虎視眈々」という言葉からなんとなく予想はしているかと思いますが今夜は虎についてお話していこうと思います。虎は十二支の中でも龍に次ぐ馴染みの少ない動物ですね。今回はそんな虎についてのお話です。
百獣の王と言えばライオンを思い浮かべると思いますが実は中国では百獣の王と言えば「虎」を差します。
獰猛さとその強さから古く王者や武勲のイメージと結びつけられてきました。
時に虎を山の神様として崇拝することもあったそうです。魔除けの力を持つ孤高の存在として人の心に在り続けたのです。
「龍虎」という言葉があるように虎は龍に並ぶ霊獣とされておりこれらの霊獣に守護されることは高い品位と権威の象徴ともされてきました。
四神における西の守護神「白虎」もまた白い虎です。よくテレビで見掛けるベンガル虎の白変種ホワイトタイガーはまさに白虎そのものです。
あの威風堂々とした姿からどこか品位を感じますが白い色がさらにそれを際立たせているように感じますね。
「虎」は勝負事の神様「毘沙門天」の神使
先程「虎視眈々」と言いましたがこれは虎が獲物を狙う様子を表した言葉です。虎はネコ科の動物です。獲物を狙う様はどことなく猫に似ています。
そういえば冒頭で警戒色の話をしましたが虎の体の模様は森林の木々にカモフラージュするためのものです。姿勢を低くして気配を殺し獲物を狙うチャンスを狙います。ただ猫がおもちゃを狙うような可愛いものではありません。
野生では常に危険と隣り合わせです。毎日いえ毎秒が命を磨り減らす勝負なのです。
ということで「虎」は七福神の一人で勝負事の神様「毘沙門天」の神使とされています。
本当のところ毘沙門天の神使となったのにはちゃんとした理由があります。とある説によると日本で初めて毘沙門天が目撃されたのが「寅年の寅の日、寅の刻」だったからだそうです。
寅の刻と言えば午前3時から午前5時ですのでかなり早朝だったんですね。
現れた場所は信貴山朝護孫子寺もしくは京都の鞍馬寺だとされています。もしくは同じ場所に同時に現れたのかもしれません。
もちろん鞍馬寺にはちゃんと虎の像が祀られているそうです。
毘沙門天は戦勝や出世の御利益があるとされる神様です。夜叉や羅刹を配下を置く強力な神でありながらさらに前身であるインド神話の神クーベラは財宝神であり金銭や商売に益をもたらす存在でもあります。
そんな毘沙門天の神使とされる虎が持つ力はとても大きなものなのでしょう。
是非ともあやかりたいと言いたいところですがさすがに本物の虎に近づく勇気はまだ持ち合わせていないようです。
それでは今夜はこのあたりで。