味と香りと幸せの詰まったガレット・デ・ロワ
晴れた昼下がりによく訪れる洋菓子店に足を運びました。何度か訪れているせいかお店の看板を見るだけで甘い香りがするような気がしてきます。
店に入り何を食べようかショーケースを眺めていると見慣れないケーキが目に入りました。ケーキというよりはパイなのでしょうか。
そのお菓子の名前は「ガレット・デ・ロワ」。見た目はおろか名前すら知らなかったそのお菓子は実は甘いバターの香りと共に幸せを運んでくれるお菓子だったのです。
ただ食べるだけじゃない 込められた想いと一年続く幸運
ガレット・デ・ロワはキリスト教の祝日「公現祭」に食べられるフランスのお菓子の事です。
「ガレット」はフランス北西部で作られる「お菓子」を意味し「ロワ」は「王様」を意味します。日本に訳すと「王様のお菓子」というところでしょうか。紙の王冠が乗せられているのですが王様をイメージしただけのものではなくちゃんと意味のある装飾なのです。それはまた後程お話しようと思います。ちなみにブリオッシュ生地で作られたブリオッシュ・デ・ロワが食べられる地域もあります。
そしてこのお菓子の最大の特徴と言えばその中身でしょう。
このガレット・デ・ロワにはフェーヴと呼ばれる陶器の小さな人形が一つだけ入れられます。そして公現祭の日に家族で切り分けて食べるのですがこのフェーヴが入っていた人は乗せられている王冠をかぶり祝福を受けます。そしてその受けた祝福は一年間続くと言われています。
陶器の人形が入れられる前はソラマメが入れられていました。「フェーヴ」とは「ソラマメ」を意味する言葉なのですがそれが次第に陶器の人形へと移り変わっていったようです。
ガレット・デ・ロワとはただ食べるだけじゃなく家族で楽しみ家族の幸運を願う想いが込められたお菓子なのです。
ゆったりした時間の中で人形探しと幸せ探し
最近では日本でもガレット・デ・ロワを置くお菓子屋さんが増えてきたそうです。実際に陶器の人形を入れているお店がどれくらいあるか分かりませんがせっかく遊び心のあるお菓子なのでほとんどのお店で人形を入れているのではないでしょうか。
実際に注文すると切り分けられたピースの中からどれがいいか選ばせてくれるお店も多いと思います。
人形はそのピースのどこに入っているか分かりません。実際にそのピースの中に入っているのかも分かりません。ですが目の前にあるガレット・デ・ロワをワクワクしながら少しずつ食べていく。
たとえ人形が入っていなくてもワクワクしながらお菓子を食べているその時間だけでも幸せなんだと思います。
家族と過ごす時間と美味しいお菓子。家族を包む甘い香りは幸せの香りなのでしょう。
たとえあなたが食べたピースにフェーヴが入っていなくても落ち込まないでください。一年間ではなくとも人形を探しながら少しずつお菓子を頬張る幸せな一時をガレット・デ・ロワはあなたに運んでくれたのですから。
それでは今夜はこのあたりで。