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大黒様の眷属であるネズミ
古来から人間と鼠は関わりを持ってきました。皆さんはネズミに対してどんなイメージを持っていますか?
中世のヨーロッパではネズミは疫病であるペストを運んでくる動物として忌み嫌われていました。それは現代でも変わらずいろいろな病気を媒介することには変わりありません。
ネズミと言えば切っても切り離せないのが穀物との関係です。日本でも古来から農作業が営まれて来ましたが収穫後の米を荒らす鼠は害獣として見られてきました。
最近ではネズミに電気のケーブルをかじられたりする被害もありますがなぜ食べ物でもないケーブルをかじるのでしょう。
それは齧歯(げっし)目であるネズミの宿命というか生きるために必要な行動の一つなのです。
彼ら齧歯目の動物は前歯が伸び続けます。そのため何かをかじって前歯を適度に削らなければ伸びた前歯が口をふさいでしまい物が食べられなくなってしまうのです。
このようにあまり良い印象のないネズミですがその繁殖力の高さから子孫繁栄の象徴ともされています。
そんなネズミを使いとするのが「大黒様」の愛称で知られる七福神の一人「大黒天」です。
なぜネズミは大黒天の使いとなったのでしょう。彼らの間に何があったのかを話していこうと思います。
鼠と大黒様の意外と知らない関係
七福神の一人である大黒天は七福神の一人になる前はヒンドゥー教の神マハーカーラでした。マハーカーラはやがて大黒天へと名前を変えて密教から仏教へと伝わっていきます。
そして神仏習合により「大黒」が「大国」に通じることから大国主命と同一視され神道の大黒天となり七福神の一人となりました。
七福神としての大黒天は米俵に乗り打出の小槌を持ち福袋を肩に担いだ姿でよく見掛けます。
米俵に乗っている事から鼠が連想されて鼠を使いとしているという考え方もあるようですが実は大黒天と鼠の関係は「古事記」の日本神話に記述されています。
神話によれば大国主命がスサノオに焼き討ちをかけられて危機に陥ったときに一匹のネズミが現れ地面の窪みの場所を教えて大国主命の命を救ったということです。
それからネズミは大国主の使いとなったのだそうです。
これが大国主命でもある大黒天の使いが鼠とされる由来なのですが実は他にも説があります。
それは古来から伝わる陰陽五行説が元になっているというものです。
陰陽道や陰陽五行には四神というものがあります。四神とは玄武、青龍、朱雀、白虎の神を指す言葉です。
これらの神を方位に当てはめると「北に玄武」「東に青龍」「南に朱雀」「西に白虎」となります。
さらに四神には色がありそれぞれ「玄武の黒」「青龍の青」「朱雀の赤」「白虎の白」となっています。
次に十干十二支の十二支です。古時刻では十二支を使って時間を表しますが十二支は方位を表すのにも利用されていました。
「大黒天」の黒は「玄武」に繋がります。玄武の位置する方位は北です。そして北に位置する十二支が「子(ねずみ)」になるのです。
これがネズミが大黒様の使いとなったと言われるもうひとつの説です。
意外に知られていない大黒様と鼠の関係についてお話ししましたがあなたはどちらの説が正しいと思いますか。
実際にどちらが正しいかは分かりません。どちらが真実なのか分かる日が来るかも知れません。
ただそれはまだまだ先のお話なのでしょう。
それでは今夜はこのあたりで。