神隠しとは
神隠しとは山中や森などで人が忽然と姿を消してしまう現象のこと。
なんの前触れもなく突然いなくなることで人の成せる所業ではないと考えられ神隠しと呼ばれるようになりました。この神隠しは山中や森だけでなく人里で起こることもしばしばありました。
神隠しには子供や女性が遭いやすい
神隠しにあう人の特徴は様々ですがその中でも子供や女性が特に神隠しに遭いやすいと言われています。そして神隠しの要因となるものも諸説あります。
今回はこの子供や女性が遭遇しやすいという部分も合わせて進めていこうと思います。
妖怪の仕業なのかもしれない
人の所業とは考えられない神隠しですがそもそも神隠しの神とは何を指しているのでしょうか。
妖(あやかし)という言葉があります。今の言葉にすれば妖怪、物怪(もののけ)を指すものですが神隠しの神とは神様ではなくこの妖を指すという説があります。
狐や狸に化かされどこかに導かれたとか鬼が人をさらうという説もあります。鬼だけではなく天狗もまた人をさらうという逸話を聞いたことがあると思います。
以前記事にしたこともありますが狐はかねてより狐火を灯して人を道なき道へと誘い込むという迷信もありますし鬼や天狗は人を喰らうとも人間の女性を嫁にするため奪いに来るという話も耳にしたことがある方もいるでしょう。
昔話でも妖怪への生け贄として子供や女性が選ばれるシチュエーションがあります。
これも子供や女性が神隠しに遭いやすいという部分を象徴したものなのかもしれません。
神域へ足を踏み込んでしまったのかもしれない
この世には二つの世界があります。人ではない神などが住む場所である常世(とこよ)と人が住む場所である現世(うつしよ)と呼びます。そしてその二つの世界をつなぐ場所が存在します。
磐座(いわくら)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。聞き慣れない言葉ですが神社などに柵や注連縄で囲まれた岩を見たことがありませんか?あれが磐座です。
磐座は岩信仰の中で御神体とされていた岩で神が降りてきて宿る岩または神が座る神聖な岩だと言われています。
他にも二つの世界の境目とされるものや場所はいろいろあります。御神木や身近なものでは神社の鳥居もその一つです。
その境目のほとんどは注連縄(しめなわ)が張られていてその先が神聖な場所だと示されています。
ですが中には山や土地そのものが神域とされていて人が足を踏み込んではいけない禁足地となっている場所も存在します。
もし常世へと足を踏みいれるとどうなるのでしょうか。神様がいるのなら無事に帰してくれるのでは考えますが日本には八百万(やおよろず)の神という言葉があります。沢山の神という意味ですが良い神様もいれば悪い神様もいます。さらに常世には神様だけではなく霊魂もいます。
霊に関しても良い霊もいれば悪い霊もいます。
神隠しにあって無事に帰ってきたという話も中には聞きますがこれは常世で出会ったのが良い相手だったからなのでしょう。
常世と現世をさまよわないために
お線香の煙を道標にご先祖さまの霊は迷わずあの世とこの世を行き来出来ると言う話を聞いたことがありますか?
他にも鬼灯(ホウズキ)という植物をお盆に供える風習がありますがこの植物はオレンジ色で袋状の実をつけます。
この実を提灯に見立て常世と現世をつなぐ道標として供えるそうです。
ここまでいろいろお話しましたが神域と呼ばれる場所には注連縄のように何かしらの印があるはずです。そのような場所には簡単な気持ちで足を踏み入れないこと。そしてなんらかの原因で知らない世界に入ってしまったらまずは何か道標を探すことです。
もし神隠しが存在しその要因が神域ではなく物怪や妖だったときは…その話はまた近いうちにさせて頂こうと思います。
それでは今夜はこのあたりで。