鋸のようなギザギザの葉を持つセイヨウノコギリソウ

ヒイラギやアザミにサボテン、バラなど葉や茎に棘を持っている植物はたくさんあります。
不意に触ってしまい痛い思いをした事がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 
しかしその棘は植物達が身を守るために進化して身に纏ったものです。もし触れて痛い思いをしたのならその進化は価値の在る物だったのでしょう。
 
しかし世の中には棘だけではなくまるで鋸の刃のような葉を持つ植物がいます。
それが｢鋸草(ノコギリソウ)｣と呼ばれる植物です。
 
今回はこのノコギリソウの仲間である｢西洋鋸草(セイヨウノコギリソウ)｣についてお話しすることにいたしましょう。
 
世界に散らばるノコギリソウの仲間達の中でヨーロッパ原産のセイヨウノコギリソウ。この植物は道端などにも自生していてその草丈は意外と高く６０センチになることもあります。
ちなみに土を選ばず育つために庭に植えたりするとミントのように沢山増えて困ったことになるのでご注意を。
 
そしてやはりその歯は細かく鋸の刃のような形をしています。
たくさんの葉を持っていることからサウザンド・ウィードとも呼ばれます。｢千枚の葉を持つ｣という意味合いからでしょうか。
他にもヤロウという別名がありますがこちらは聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 
さて、このヤロウことセイヨウノコギリソウには色々な力があると言われます。
それではそんなヤロウの力についてお話していきましょう。

人だけではなく植物さえも癒してしまうセイヨウノコギリソウ

｢ヤロウ｣こと｢セイヨウノコギリソウ｣は大変生命力の強い植物です。
コンパニオンプランツという言葉を聞いたことはないでしょうか。その植物を植えると周りの植物が元気になるという少し種の保存に反した特徴を持つ植物のことです。
 
今回お話しするセイヨウノコギリソウもこのコンパニオンプランツの一つで根から出ている分泌物は害虫を寄せ付けない効果を持ちさらには周りに生えている植物の病気までも治してしまうとされています。
 
そして驚くべきなのは根だけはなく葉にも特別な力があります。生ゴミの中に葉を一枚入れるとものすごいスピードでゴミを分解して栄養にしてしまうのです。
たった一本植えただけで庭いっぱいに増えてしまうのも頷けますね。
 
さらにセイヨウノコギリソウが癒すのは植物だけではありません。人間すらも癒してしまうのです。植物を観て心が癒されるという意味ではなく実際に傷を癒すのです。
 
癒すというと語弊があるかもしれませんがその昔セイヨウノコギリソウは｢兵士の傷薬｣と呼ばれていました。
ヤロウの成分は止血効果がありその効能は古代ギリシャから知られていたと言います。そしてイギリスでは５世紀あたりから薬草として栽培されていたそうです。
セイヨウノコギリソウの花言葉は｢戦い｣｢治癒｣とされているのもこのあたりが由来なのでしょう。

魔除けと勇気とおまじない｢セイヨウノコギリソウ｣の不思議な力

解熱剤や痛み止めに傷口の殺菌といろいろな場面で使われるヤロウですがこの植物には不思議な力もあると言われています。
 
ノコギリソウという名前をどこかで聞いたことがありませんか？
実はヤロウは魔術にも使われます。中世ではセイヨウノコギリソウには魔除けの力があると信じられていて幸せを邪魔する悪魔を遠ざけるために結婚式の花束にも使われたそうです。
このネガティブなものを遠ざける力はおまじないにも使われています。
 
セイヨウノコギリソウは｢愛｣と｢勇気｣のハーブと言われていてアイルランドのドルイド達は茎を使い天候を占いイギリスでは恋占いに使われています。
 
 
簡単なおまじないとしてはヤロウを持ち歩くと愛を運び愛を引き寄せるとされています。
さらにヤロウを握ると勇気が湧いてくるとされ告白の際にも使われるそうです。
他にも身に付けていると気になる人に意識してもらえるというものもあります。
 
あなたが不意に誰かのことを気になったとしたらもしかするとそれはセイヨウノコギリソウの力だったりするのかもしれません。
 
 
今回は鋸状の葉を持つ植物セイヨウノコギリソウについてお話してきました。
その葉はまるで触れれば切れてしまいそうな容姿ですがご安心ください。その鋸のような葉は柔らかく触れても切れてしまうような事はありません。
ただそれはギザギザした形状の葉を持っているだけなのですから。
 
 
普段トゲトゲしく触れれば傷つけられてしまいそうな雰囲気を持つ人がいるかもしれません。
でもそんな態度とは裏腹にあなたを想い元気付けてあなたに寄ってくる悪い虫を追い払う。そして時にあなたの傷を癒してくれる存在なのかもしれませんね。
 
 
それでは今夜はこのあたりで。