「打出の小槌」と「シンデレラ」その鐘の音は誰のため

「打出の小槌」どんな願いも叶えてくれる魔法のアイテム

「無い袖は振れない」とはよく言ったものでいくら見栄を張ったところで出来ないことは出来ませんし出せないものは出せません。
ただ「情けは人のためならず」困った人を見るとどうしても見過ごせない人もいるでしょう。

そんな時に例え袖が振れなかったとしても振れば願いが叶う魔法のアイテムが有ります。

それが今回お話する「打出の小槌(うちでのこづち)」です。


「打出の小槌」という言葉は皆さん一度は耳にしたことがあるでしょう。
「御伽草子」に綴られた「一寸法師」にも登場し一寸法師を大きくしたというのが有名ですね。

しかし「御伽草子」に語られる打出の小槌は背を大きくするだけでなく空腹を満たす食事を出したり金銀財宝を出したりと様々な用途に使われています。

昔話の代名詞と言える「桃太郎」。その中でも鬼ヶ島で手に入れた宝物の中にも打出の小槌が入っています。

御伽草子や昔話だけではなく実は九州や四国地方の伝承には海に薪を捨てたことに喜んだ竜宮からお礼の品として打出の小槌をもらったという話も残っているそうです。

大黒様の持ち物ともされて振れば願いを叶えてくれる夢のような小槌ですが実はあまり知られていない問題点があるのです。

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あまり知られていない「シンデレラ」と「打出の小槌」の共通点

童話「シンデレラ」のお話は皆さんよくご存知かと思います。
改訂によりストーリーが若干違ったりもしますが最も有名なあらすじとしては以下のような感じです。


・舞踏会へドレスがなくて行くことが出来なかったシンデレラの前に魔法使いが現れます。

・魔法使いはシンデレラにドレスとガラスの靴やカボチャの馬車などを魔法を使い用意してあげました。

・ただその魔法は午前零時になると解けてしまいます。

・王子様とのダンスに夢中になっていたシンデレラは零時の鐘の音を聞いて慌ててその場を後にしたのでした。

かなりザックリとしていますがこのようなあらすじですね。



それでは一旦「打出の小槌」に話を戻しましょう。

平安時代の仏教書「宝物集」にもこの小槌が登場するのですがその内容を簡単に説明しましょう。
打出の小槌は服や食事、馬などの家畜、金銀財宝を思いのままに打ち出すことが出来るとされています。

しかし打ち出されたものは鐘の音とともに消え失せてしまうともされています。

さて、ここまで来てお気付きの方もいるかもしれません。


シンデレラと打出の小槌の共通点。それは「鐘の音」です。
鐘の音と供に魔法は解けて鐘の音と供に打ち出されたものは消えてしまいます。
正確にはシンデレラの魔法は鐘の音で解けたわけではありませんが。



以前に梵鐘の話をしたときに「鐘の音は聖域を作り出し邪を祓う事が出来る」と言いました。

人の望むものを思いのままに出すことが出来る「魔法」や「打出の小槌」は邪となるものなのでしょうか。いえ、もしかするとそれを望む人間の欲こそが邪なる存在だということなのかもしれません。

もしくは「簡単に手に入れたものはすぐに消えてしまう」と言う教訓なのでしょう。


そういえば先程大黒様が打出の小槌を持っているとお話ししました。
大黒様つまり大黒天の前身はヒンドゥー教のシヴァ神の化身マハーカーラです。シヴァ神は創造と破壊を司る神様です。

出して(創造)は消える(破壊)という打出の小槌の性質はどこか大黒様と繋がるように感じます。
この事がもしかすると大黒様が打出の小槌を持つ由縁なのかもしれませんね。


それでは今夜はこのあたりで。

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