「ホタル」幸せの象徴?それとも不吉?儚く美しい蛍の光

儚くも美しく「蛍」はなぜ光るのか

綺麗な川辺に現れる優しく舞う光達。そろそろ蛍の季節がやって来ます。蛍が成虫として生きられるのはおよそ1週間から2週間の間だけです。
今では夏の風物詩となった蛍達について今回はお話しようと思います。
まずはなぜ蛍は光るのかについてお話しましょう。
虫や動物の中には赤などの保護色ではない派手な色をしているものがいます。これらはむしろ警戒色となっていて自分が「毒を持っている」または「捕食しても美味しくない」ということをアピールする役目を持っています。
実は蛍にも毒を持っている種類が居て蛍が光るのは警戒色の一種だとも考えられています。

また蛍が光る理由として考えられているのが求愛のためです。動物や虫は戦いによって強さを誇示したり動きや綺麗な色などで異性の気を引きます。中には住みやすい巣を作るという求愛行動を取る鳥もいましたね。

なぜ蛍は光るのかということですが科学的には蛍の光る部分は発光層と呼ばれていてさらにその下には光を反射する層を持っていて効率よく光を放ちます。蛍やバクテリアなどの光は電気エネルギーを使った発光よりも格段に効率が良く全く熱を出しません。
そのため蛍の光は冷たい光「冷光」とも呼ばれます。

この冷光を作り出すのが蛍の体内で「ルシフェラーゼ」という酵素と「アデノシン三リン酸」を反応させて作り出される発光物質「ルシフェリン」です。この物質により蛍は光ることが出来るのです。

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蛍の光は幸せの象徴?それとも不吉?

夜の川辺を舞う蛍の光はとても神秘的です。そんな夏の風物詩である蛍は幸せの象徴なのでしょうか。それとも不吉の象徴なのでしょうか。
実は蛍は蛍は古来は不吉の象徴とされていました。
ほとんど目にすることは出来ませんが狐火や人魂、以前紹介した青鷺火など自然界にはいろいろな発光現象があります。
人智を超えたこれらの発光現象は人々に恐れられて怪異とされていました。蛍も同様にその生態が知られる以前は不吉なイメージを持たれていたのです。

先程話した蛍の持つ発光物質「ルシフェリン」ですがこの物質の名前は「ルシファー」が由来となっています。
ルシファーとは説明するまでもないかもしれませんが堕天使であり魔界の王サタンの事です。
しかしルシフェリンの由来はそこまで邪悪なものではなく天使時代のルシファーが持つ「光を放つもの」「明けの明星」から来ているのでしょう。
しかしそのために西洋でも不吉なイメージを持たれることがあったのかもしれません。

それでは蛍が幸せの象徴や恋の象徴として見られるようになったのはいつ頃からなのでしょう。
今から約1000年以上前のこと。時代は室町時代に遡ります。
平安時代になると蛍の持つ儚く美しい姿に恋を重ね合わせ次第に不吉な部分は忘れ去られていきました。実際に歌に読まれたり源氏物語に登場しています。
やがて人々にホタルは幸せや恋の象徴だという認識が広がり現在に至るのです。

川辺を舞う神秘的なホタルの舞い。それが幸運の予兆なのかそれとも不吉の前兆なのか。それは物事に光と陰があるようにその美しく儚い姿を見てどう感じるのかが大切なんだと思います。
個人的には蛍を見るとどこか懐かしい気分になるのですがこれは自分なりに幸せの前兆だと思っておくことにいたしましょう。

それでは今夜はこのあたりで。

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