「青鷺火(あおさぎのひ)」空を飛ぶ青い光とサギ

「青鷺火」青い炎を纏うサギの怪異

今昔画図続百鬼 (こんじゃくがずぞくひゃっき)という本があります。江戸時代の画家である鳥山石燕(とりやませきえん)の描いた妖怪の絵や怪異についての説明を集めた画集のことです。
この画集は三部構成となっておりそれぞれ「雨」「晦」「明」という名前が付けられています。
そのうち「晦」に「青鷺火(あとさぎのひ)」と呼ばれる怪異について書かれています。

青鷺火とはサギの体が青白く光る怪奇現象のことを言い別名「五位の火(ごいのひ)」とも呼ばれています。
日本でよく見られる鷺の種類はアオサギにゴイサギ、ダイサギで白鷺と呼ばれるのは主に体の白いダイサギの事です。
今回紹介する青鷺火ですがこれは青鷺(アオサギ)よりも五位鷺(ゴイサギ)の事を指していると言われています。それは「青鷺火」の別名「五位の火」からも分かります。

江戸時代より噂になっていたこの怪異ですが現在の奈良県でもこの青鷺火の目撃例が残っています。
柳の大木の下に毎晩青い火か目撃されて人々はそれを恐れていました。ある晩に男が真相を暴こうと近づいてみるとその柳の大木そのものが青く光だしたというお話です。
この現象はアオサギが起こした怪奇現象だとされています。
ただ鷺に関するお話はこれだけではありません。それでは語られている他の怪異もご紹介していきましょう。

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サギに関する伝承とその根拠

新潟県にある佐渡島には次のような伝説が残っています。
お寺にある梅の木に毎晩炎が灯るというお話です。この炎は次第に人々から龍神が灯す炎である龍灯だと言われるようになりました。
あるとき一人の男がこの炎を矢で射ました。仕留めたあと男が近付いてみると一羽のサギだったそうです。

ただこういった話はなにも古くからかたられているものだけではありません。
茨城県では昭和に入ってすぐのころに青白く光るゴイサギが目撃されています。
このようにサギに関する伝説や伝承はいくつも残っているのです。そのなかにはゴイサギが火を吐いていたという目撃例もあるほどです。

ゴイサギには長く生きると化け猫のように化けると言われています。歳を経たゴイサギの胸には鱗が出来て体は青白く光り黄色い粉を吹くようになるという伝説です。
こういった伝承があるのは実はサギだけではありません。
サギをはじめとするキジなどの山鳥は夜に空を飛ぶ時は羽が光るという話もあるのです。

しかしこの発光現象には科学的な見解もしっかりあります。その原因は発光性のバクテリアです。水辺で餌をとるサギの体にこの発光性のバクテリアが付着してこれが月光により発光したというものです。
かなり説得力のある説なのですがそれでは胸の鱗と黄色い粉については説明できません。
この説に関して否定するわけではないですが肯定もしないでおきましょう。

なぜなら不思議なことを科学的に証明したいけれど不思議な出来事を信じていたいからです。
そういえば冒頭で白鷺の事を少し書きましたがいつか白鷺についてのお話もしようと思います。

それでは今夜はこのあたりで。

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