「スフィンクス」と「スピンクス」 神と怪物の二つの顔を持つ者

スフィンクスからのなぞなぞを知っていますか

「朝は4本足で昼には2本足になり夜になると3本足になるものは?」

こんななぞなぞを聞いたことがないでしょうか?
これはある物語の中で旅人に出されたなぞなぞなんですがこのなぞなぞを出したのは一体誰なのか知っていますか?

砂漠の真ん中に佇むスフィンクスだと思った方はちょっとだけ間違いです。
実はこのなぞなぞが出された場所は砂漠ではなく山です。
正確にはピキオン山と言いますが今回はこのなぞなぞを出したスフィンクスについてお話ししましょう。

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「スフィンクス」人の王であり百獣の王でもあるもの

スフィンクスと聞いて砂漠の中に猫が香箱を組むようにして佇むあの像を思い浮かべるでしょう。
そうです。その通りです。あれこそがエジプト神話におけるスフィンクスの姿なのです。

エジプトではスフィンクスは神聖な存在です。それは王家の象徴とされていて神と同じように崇められてきました。
スフィンクスを思い浮かべてみてください。スフィンクスの頭に被せられているものを。
あれはネメスという帽子のようなものですがツタンカーメンの仮面を思い出してもらえると分かりやすいと思います。
スフィンクスはそこネメスを被った王ファラオの顔と百獣の王であるライオンの体を合わせたものです。

そのスフィンクスは大変神聖なもので敵を倒す力と王を守るための力を与えてくれると考えられています。

「スピンクス」ゲームと謎かけが好きなエキドナの娘

場所は変えて舞台を古代ギリシャに移しましょう。
古代ギリシャより伝わる神話ギリシャ神話にもスフィンクスが登場します。ですがギリシャ神話ではスピンクスと呼ばれています。
ギリシャ神話に登場するスピンクスはエジプトのスフィンクスとは容姿が少々異なります。
百獣の王ライオンの体を持つのは同じですがその顔はファラオではなく女性の顔です。そしてその背中には鷲の翼を持っているのです。
エジプトのスフィンクスが神のように崇められていた一方でギリシャ神話のスピンクスは怪物とされているのです。

このスピンクスのようにいくつかの生物が合成されたような容姿の怪物はギリシャ神話には他にも登場します。
犬と蛇を合わせたケルベロスにオルトロスの兄弟、ライオンと山羊と蛇を合わせたキマイラもそうです。
ケルベロスにオルトロスやキマイラには実は共通点があります。それは母親が同じだということです。その母親とは人と蛇が合わさった怪物エキドナです。
今回お話ししているスピンクスもまたこのエキドナの娘なのです。
スピンクスの時折尻尾が蛇になっている描写がされますがそれはエキドナの血を引いている証拠なのでしょう。

神話の中には怪物スピンクスが破壊や殺戮を繰り返すような描写はありません。
ただ彼女はゲームと謎かけが大好きなのです。
スピンクスがいるのはピキオンという山です。彼女はここを通る旅人になぞなぞを出します。

冒頭でお話ししたなぞなぞを出すスフィンクスについてですがなぞなぞを出すのはエジプトのスフィンクスではなくギリシャ神話のスピンクスの方なのです。

さて、このなぞなぞ好きなスピンクス。もし彼女の出すなぞなぞに答えられなかったらどうなるのでしょうか?

ゲームが好きとは言え仮にも彼女は怪物です。そのなぞなぞに間違って答えてしまうと食べられてしまいます。
でも安心してください。何も答えずに引き返すことも出来るんですよ。

なおスピンクスは戦いにおける死から身を守る力の象徴でもあります。不死と言われた彼女の母親エキドナの力を受け継いだのでしょうね。

エジプトのスフィンクスとギリシャのスピンクス

今回お話ししたスフィンクスとスピンクスは容姿も名前も違いますが同一の存在とされています。
スフィンクスが持つ敵を倒す力と王を守る力。スピンクスが持つ戦いでの死から身を守る力。

どちらも戦う者の味方であることは間違いありません。
崇め敬うことでその力を与えてくれるスフィンクスに対してスピンクスの加護を受けるにはどうすれば良いのでしょうか。

スピンクスにとって謎かけやゲームは戦いそのものです。
なぞなぞに答えずに引き返す者は彼女にとっては戦いに身を投じてすらいないのです。
間違って答えてしまえば彼女に食べられてしまいますがそこにはきっとスピンクスから戦った者へ敬意が込められているのではないでしょうか。

スピンクスに勝つにはどうすれば良いのか。
それは簡単です。スピンクスにとっての戦いつまりゲームに勝つことです。
現に彼女はなぞなぞに正解された際は海に身を投げるそうです。
目の前に戦いが現れた時あなたはどうしますか?
逃げれば何も手に入らない。戦えば力が手に入るかもしれない。
あなたは逃げますか?それとも戦いますか?

それでは今日はこのあたりで。

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