平安時代より伝わる究極のお月見「無月」
夜空には散りばめられた星たちが煌めいています。その中に太陽の光を受け夜空を照らす月が浮かんでいます。
古くから真っ暗な夜の世界に光を届けてくれた月をを愛でるための夜が今年もやってきます。「中秋の名月」または「十五夜」とも呼ばれるその夜は今年は9月15日となっています。
月見の歴史は古く縄文時代にはすでに月見をする風習があったそうです。そして時は流れ平安時代になりました。平安貴族の間で普通では考えられないお月見が行われていました。
以前書いた記事で少しだけ触れましたが今回はその記事からのスピンオフ。究極とも呼べるお月見「無月(むげつ・むつき)」 についてのお話です。
「無月」とはどんな月見でどのように行うのでしょうか
古のお月見「無月」とは平安貴族達が月を愛しすぎた故に生まれたお月見の形です。
行えるのは中秋の名月の一晩のみでいつでも行えるわけではありません。そして無月は毎年行えるものでもないのです。
進め方ですがまず無月を行いたい場所に月見団子と月見酒を用意します。ススキなどがあればなお良いでしょう。ここまでは普通のお月見と変わりありません。
そして次に一応空を見上げます。そう、一応空を見上げるのです。無月とはうっすらとした月明かりだけを楽しむのです。だって空を見上げても雲に隠れて月が見えないんですから。
無月とは文字通り「雲に隠れて見えない月」を楽しむお月見なのです。たとえ見えなくとも雲の向こう側にある月を愛でるとはなんと風情があるのでしょう。ですが平安貴族の月に対する想いはこんなものではないのです。
平安貴族のお月見は雨天決行
雲に隠れて見えない月を愛でる「無月」ですが中秋の名月は年に一度です。曇った日もあれば雨の日もあります。
しかし平安貴族のお月見は雨天決行です。雨の日でも見えない月を見るのです。その名は「雨月(うげつ)」と呼びます。
平安貴族にとって天気は関係ありません。見えない月を見てお月見を楽しむのです。
見えない月を見て大切なものを思い出す
雲に隠れ雨に霞んだ見えない月を見て月に想いを馳せた時代よりはるか昔から月は地球に光を届けてくれていました。
当たり前のように夜空に浮かび当たり前のように照らしてくれる月ですが当たり前だからこそ人は月が照らしてくれている事を忘れてしまいます。
ただ何も考えずに月を愛でる。年に一度くらいはそんな夜があっても良いでしょう。
月にはウサギがいると言われています。月にある模様がウサギのように見えるからです。ですが人によって見えるものはいろいろでしょう。
心が曇った時にも涙で視界が霞んだ時にもそこには必ずあるはずです。あなたを照らしてくれるあなただけの月が。
中秋の名月はもうすぐです。あなたの月には一体何が映るのでしょうか。
それでは今夜はこのあたりで。