「常世現世(とこようつしよ)」あの世とこの世と常夜灯

あの世とこの世の話をしましょう

そろそろ冬至がやって来ます。夜が年間で一番長い日です。つまり日の入りが一年で一番早い日です。
日没の時は逢魔時(おうまがとき)と呼ばれ霊や魑魅魍魎が現れやすいと言われています。
逢魔時はきっとあの世とこの世の境が弱くなるのでしょう。

今回はそんな「あの世とこの世」のお話です。
そういえばみなさんは寝るときに部屋を真っ暗にして寝ますか?

スポンサーリンク
レスポンシブ

常世(とこよ)と現世(うつしよ)二つの世界

神道や日本神話には二つの世界が存在します。

常に変わることのない人ではないものが住む世界。死後の世界であり黄泉の国もその世界にあると言われています。
常に変わらないこの世界のことを「常世」と呼びます。
「あの世」と言われる世界です。
常世に対して人が住む世界は現世(うつしよ)と呼ばれていて移り変わる世界だと言われています。
俗にいう「この世」は現世の事を指しています。

先程お話した逢魔時はこれらの常世と現世の境が弱くなりこの世に在らざるものと出逢う時間帯だと言われているのです。

あの世とこの世の境目はいったいどこにあるのでしょうか

逢魔時と呼ばれる夕刻は常世と現世の境が弱くなります。
以前ワルプルギスの夜についてお話しましたがその夜もまた生者の世界と死者の世界の境が一年でもっとも弱くなると言われています。
それではその境目は一体どこにあるのでしょう。

ブードゥー教の世界にも精霊や魂と交信するために二つの世界をつなぐ刻印があるそうです。
他にも身近にあるものでは鏡はあの世とこの世をつなぐ道になるとも言われます。

それでは神道の世界に話を戻しましょう。

神道では常世と現世の境に何かしらの目印が設けられています。
注連縄であったり鳥居がその代表格です。神道の世界では神社は神様の住む社とされています。
つまりそこは神域とされ鳥居で区切られているのです。
神社だけで考えてみれば日が落ちると神様も寝てしまうためにその神域としての力が落ち境が弱くなるのでしょう。
ですがこれは人の手によって作られた神域の話です。魑魅魍魎や霊がいるという常世とはまた別のお話です。
その境目についてはまた違う機会に考えることにしましょう。
それというのも今回お話ししたいのはその神社についてだからです。
以前夜の神社は危険なのかという話をしましたが実際に夜の神社に足を運んだことがある方はたくさんいると思います。

夜の神社…まずはその光景を頭に思い浮かべてみてください。

常夜灯が照らすのは夜道の闇だけなのか

夜の神社の光景を思い浮かべます。そしてそのまま鳥居をくぐり先に進みましょう。
夜の闇の中あなたには参道が見えますか?
あなたにはきっと参道が見えるでしょう。参道の脇には道を照らす常夜灯が置かれていますから。
常夜灯は常夜燈とも書きます。参道の脇にある中に蝋燭が立てられるようになっている石燈籠のことです。
常夜灯は字のごとく夜の間ずっと点けられていて安全ために夜道を照らすものです。

普段皆さんの部屋にある照明器具にも常夜灯としてオレンジ色に光るナツメ球や豆電球が取り付けられています。
あれも暗闇の中移動する危険を回避するためのものです。
さて、冒頭のほうで皆さんにした質問を覚えていますか?
「そういえばみなさんは寝るときに部屋を真っ暗にして寝ますか?」

筆者は昔から真っ暗でないと眠れないので照明は全て消すのですが皆さんはどうでしょう?

真っ暗だと眠れないので常夜灯を点けているという人も多いでしょう。

実は先程の常世の話でひとつ説明するのを忘れていたことがあります。
「常世」はその昔「常夜」と書かれていたのです。

神社などにある常夜灯が照らしているのは夜の闇なんでしょうか?それとも常世(常夜)なのでしょうか?

そして皆さんが眠るときに点けているのは常夜(じょうや)灯ですか?それとも常夜(とこよ)灯でしょうか?
もしかするとあなたが寝る前に見ている光景はこの世のものではないかもしれません。

ですが大丈夫です。あなたが常世が常夜と書かれていたことを知らずに常夜(とこよ)灯ではなく常夜(じょうや)灯だと思っている間はそれはただの常夜(じょうや)灯なんですから。

ただ今夜からはどうなるかわかりませんが。

それでは今夜はこのあたりで。

スポンサーリンク
レスポンシブ

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
レスポンシブ