死を予言する者達と首なし騎士「デュラハン」
人に必ず訪れる命の終わり。それはいつどこで迎えることになるのか分かりません。
世の中には数多の逸話が存在します。今回紹介するのは命の終わりつまり「死」を予言する者達についてです。
スコットランドにはグレイマンと呼ばれる者の伝説があります。
グレイマンは月夜の晩に波間から現れます。そして崖や岩をよじ登りその頂で会話を行うのだそうです。
その声はまるで雷のようで空を切り裂くように辺りに響き渡るのだそうです。
グレイマンは人が命の終わりを迎える時に現れるそうでその姿を見たり声を聞いたものは近く死を迎えるのだそうです。
それは彼らの会話が「死の予言」だとされているからだそうですよ。
日本にも死の予言とは少し違いますが「件(くだん)」と呼ばれる怪異が語り継がれています。
件は牛の体に人の顔を持つ怪異で産まれてすぐに絶命してしまいます。
しかし件は絶命する前にある予言を残すと言われているのです。さらにこの件は現れただけで地震や火山の噴火などの天変地異の予兆ともされています。
俗に言う死神もそうですね。予言はしないにしても死を迎える魂を迎えにやってくる者と言われていて死神の姿を目にすると死期が近いともされています。
日本にも死神と呼ばれる者は居るのですが以前もお話したように西洋の死神は魂を迎えにやってくるのに対して日本の死神は人を死に誘う存在です。こちらは予言とは少し違うので今回は省かせて頂きましょう。
アイルランドの伝承にはデュラハンと呼ばれる死の宣告者がいます。
別名「首なし騎士」とも呼ばれますがデュラハンは妖精だという説や女性の姿をしているという説もあります。
今回はこのデュラハンについて少し詳しくお話しすることにしましょう。
デュラハンの伝説と死の予言
世界にたくさんある伝承の中から今回はアイルランドの首なし騎士デュラハンの話をしましょう。
デュラハンについてお話しようと思いますがまずは何から話していけばよいのでしょうか。
やはりデュラハンの最大の特徴はその容姿でしょう。
首なし騎士の別名の通りデュラハンには首がありません。そして騎士と言えば馬です。彼はコシュタ・バワーと呼ばれる馬車に乗っているのですがその馬車を引く馬もまた首なしなのです。
そしてデュラハンは片手に馬車の手綱を持ちもう片方の手には自分の首を持っているそうです。
デュラハンはタイトルにもある通り「死を宣告する者」です。容姿だけでも恐ろしい彼ですがそんな彼の死の宣告はもっと恐ろしいものなのです。
彼は「近く死人の出る家」に馬車に乗って現れます。そしてからは玄関の前に止まるのですがその時に家の人が様子を見るために玄関を開けてしまうと彼は家の人の顔にタライに入った血を浴びせるのです。
しかしこれはまだましな方です。もしデュラハンが血を用意していない状態で姿を見てしまうと鞭で目を潰されてしまうのです。
ですがデュラハンは現れるだけで死の予言を意味するそんざいです。一体なぜそんな行動に出るのでしょうか。
それはデュラハンが自分の姿を見られたくないからなのです。
首のない馬車に乗る首のない騎士デュラハン。彼は意外と恥ずかしがりやなのかもしれませんね。
そんなことよりも大切なことがあります。もしどこかの家に向かうデュラハンと偶然出くわしてしまったらどうすれば良いのでしょうか。
実はコシュタ・バワーは常世の存在でありながら水の上は走ることが出来ません。つまりなんとか川にたどり着き泳いで川を渡れば逃げ切ることが出来るのです。しかしジャンプして渡れるような川では意味がありません。
デュラハンには鞭があります。川を飛び越えて安心して振り向いたところで鞭に目を潰されるというようなホラー映画のような展開なってしまうかもしれないからです。
さて、先程も話しましたがデュラハンのことをずっと彼と言っていますが実はデュラハンにはいくつかの伝承があります。
それはデュラハンは妖精だというものや女性の姿をしているというものです。
実はアイランドにはバンシーという妖精がいます。
バンシーは女性の姿をしておりデュラハンと同じように死を宣告する者です。
なぜ同じ地域に死を司る者が複数存在するのでしょうか。
と思いましたがこの話をし始めると長くなりそうなのでこの話はバンシーのお話をする時にすることにしようと思います。
デュラハンより恐ろしいものがそこにはいるかもしれないのですから。
それでは今日はこのあたりで。