池や盃に映し楽しむ月見をなんと呼ぶのか

月と月見と平安貴族

レストランの窓辺で夜景を見ながら食事をするカップル。
二人の様子を見るにどうやら初デートでしょうか。男性の方は必死に会話を続けようと女性に話しかけますが女性は窓の外ばかりを見ていて夜景に夢中なようです。
女性は男性にきょうみがないのでしょうか。
しかしよく見ると女性の視線は夜景を見渡すというよりはどこか一点だけを見つめています。
そう、女性は夜景を見ているわけではなく直接目を合わせるのが恥ずかしかったためにガラスに映った男性の姿を見つめていたのです。

そんな場景を思い浮かべてふと頭をよぎったことを今回はお話しようと思います。

時は遡り平安の時代。
平安時代の貴族達は物事を楽しむことへの追求を忘れない人達でした。
その一つに挙げられるのが観月つまりお月見です。中秋の名月つまり旧暦でいうところの8月15日に行われるお月見を当時の貴族達も楽しみにしていました。

しかし自然は操ることの出来ないものです。皆が望む通りに良い月夜が迎えられるとは限りません。
曇りの日もあれば雨の日もあります。しかし当時の貴族達は落ち込むことはありませんでした。
曇りの日に雲に隠れた月を鑑賞する「無月」雨の日には雨と共に月を楽しむ「雨月」といったようにその時の全てを受け入れて月見を楽しんだのです。
これに関しては以前も記事に書きましたね。

そして今回お話しするのは当時の貴族の中で流行っていたお月見の方法についてです。

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水面に映る月を楽しむ月見

まさに風雅と言うべきでしょうか。そんな平安時代の貴族の中で流行っていたお月見。それは月を水面に映して楽しむものです。
それは池に船を出して水面に映る月を鑑賞したり盃に映った満月を見て楽しんでいました。

その月見は特に名前はついていません。それをなんと呼ぶべきなのか。少しだけ考えてみようと思います。

水面に映る月を楽しむ行事とはなかなか粋なものです。その名前を考えるのは非常に難しいです。
そうですね。一番に頭に浮かんだのは「水月」ですがこれはどうも簡単すぎます。
水面を鏡に見立てて「鏡月」というのもイマイチな気がします。水面に映った月ということで「映月」は少し離れてしまった気がします。
逆さ富士しかり「逆さ月」と言っても月にじょうげがないような気がします。
雲の向こうにある月を鑑賞する「無月」に雨に降られても月を楽しもうという「雨月」とは平安貴族の感性には驚きです。
むしろ今まで名前のなかったものに名前を付けようというのが無粋なのかもしれません。
水面に映る月を愛でるという名もなきお月見を今年は楽しんでみようと思います。

中秋の名月である旧暦8月15日は2017年でいうと10月4日になります。残念ながら十三夜なので満月とはいきませんが年に一度くらいは月に目を向けてみるのも良いと思いますよ。

さて、あなたは何に映った月を愛でるのでしょうか。

それでは今夜はこのあたりで。

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