ケルト人の祭りと関わりの深い「クロスクォーターデイズ」

クロスクォーターデイズとケルトのお祭り

ケルトの文化というのは非常に多岐にわたり神話に関してもいくつかのグループがあります。ウェールズ神話、アイルランド神話、スコットランド神話などですね。

二十四節気という言葉にあるように日本では一年を二十四の節目で区切ります。太陽暦つまり太陽の動きを元に季節を分けます。

アイルランド神話でも同様に太陽暦を使い一年を表します。
多少日はずれますが日本でいうところの冬至、春分、夏至、秋分にあたる日をクォーターデイズと呼ばれます。

さらにそこからそれぞれのクォーターデイズの中間にクロスクォーターデイズという日を設けて一年を8つに区切るのです。

この一年に4回訪れるクロスクォーターデイズにはお祭りが執り行われます。
それではそれらのお祭りを順に紹介していきましょう。

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「サウィン、サーウィン」一年の終わりと始まりを祝う祭り

ケルトの一年は11月1日から始まり10月31日で終わります。
このサウィンと呼ばれるお祭りの期間は10月31日の日没から11月1日の日没までです。つまり1年の終わりと新しい一年の到来を祝うものなのです。日本でいうところの大晦日と元旦ですね。

言わば現代カウントダウンイベントに近いものだと思って良いと思います。

しかしこの10月31日の夜というのは妖精の輪と呼ばれる人間界と人に在らざる者との世界を隔てる扉が開くと言われています。
そして死者の霊が訪ねてくると考えられていたためにケルト人は仮面を被り魔除けの火を焚きました。

ちなみに11月1日は諸聖人の日とさせています。「オール・ハロウズ」、「ハロウマス」とも呼ばれるこの日の前日10月31日は「ハロウ・イブ」と呼ばれるのです。

サウィン、ハロウ・イブ、サウィン、ハロウ・イブ…

そう、いつからかこのサウィンはハロウィンと呼ばれるようになったのです。

「インボルク、インヴォルク」春の訪れを祝う祭り

サウィンの後ユールと呼ばれるクォーターデイズを経て二番目のクロスクォーターデイズが訪れます。

1月31日の日没から2月1日の日没までに執り行われるお祭りがやってきます。
それがタイトルにもある「インボルク」と呼ばれるものです。

鍛冶、光、火、家畜を司る女神ブリギットの聖日であり春の訪れを祝う催しです。

このお祭りでもまた火が重要になってきます。そしてインボルクは暖炉と家の祭りだとされています。
火は清めの力を持っているとされていて焚き火を行ったり蝋燭や暖炉の火を神聖なものとして扱ってきました。

この時期たいまつを持って行列で歩く行事も行われますがこれは農耕の際に土地を清めるためにゲール人が行っていた風習が元になっているそうです。

「バルティナ、ベルテン」夏の始まりを告げる祭り

インボルクが終わり次にやってくるクォーターデイズは春分にあたるオースターラです。オースターラを過ぎて次にやってくるのがベルティナ、バルティナと呼ばれるクロスクォーターデイズです。

4月30日の日没から5月1日の日没までがその期間になります。
豊穣と光そして健康を司るベレヌス神を崇めるためにかがり火を取り囲み皆で踊りを捧げます。

5月1日は聖ワルプルガの聖日となっているのですがそのためその前日である4月30日の夜はこう呼ばれます。

ワルプルギスの夜。

ノース人の言い伝えによればこのヴァルプルギスの夜は死者の世界との境界が一年で最も弱くなると言われています。
そのため人々は近寄ってくる死者の魂や悪霊を追い払うために大きなかがり火を焚くのです。

そして場所は変わりドイツのブロッケン山ではまた別の祭りが催されます。
それは魔女達による宴会です。ワルプルギスの夜になると世界中の魔女がこのブロッケン山に集まり宴を始めるのです。

「ルグナサート、ルナーサ」その年の収穫を祝う祭り

バルティナの後にはリーザと呼ばれるクォーターデイズが訪れます。
夏至のあたりになるのですがこのリーザの日にはあるものが開きます。先程バルティナには死者の世界との境界が弱まると言いましたがリーザに開くのは妖精界との扉です。
この話はまた別の機会にすることにしましょう。

リーザの後にやって来るクロスクォーターデイズはルグナサートと言います。
7月31日の日没から8月1日の日没までに行われる収穫を祝うお祭りです。

ケルトの神の一人ルーに作物を捧げその年の収穫を祝いました。
太陽神ルーは医術や武術なども司ります。そのためこのルグナサートでは何かしらの競技も行われていたそうです。

ちなみに太陽神ルーの祖父は魔眼の持ち主である「邪眼のバロール」です。このあたりについてもまたお話しすることに致しましょう。

ルグナサートを終えて秋分にあたるクォーターデイズのメイボンを経てケルトの一年は終わりを迎えます。

ケルト人にとって火はとても大事なものでした。
ここでは四季があるように書きましたがケルトでは一年を冬と夏に分けます。

暗く寒い冬を過ごすために。そして邪を祓うために火は欠かせないものだったのです。

日本でも火を使う祭事は多くあります。ですがあまりに身近になりすぎて忘れてしまっている火の大切さを時には思い返してみるのも良いかも知れませんね。
そして冬の空気は乾燥しています。火事を起こさないように火の取り扱いにはご注意を。
それでは今夜はこのあたりで。

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