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ハーメルンの笛吹き男はなぜ子供達を笛の音で連れ出すことが出来たのか
それは今から700年以上前から語られる伝承です。
1284年のドイツでの事です。ハーメルンという街にネズミが大量発生して人々は頭を抱えていました。
そこに現れたのは鮮やかな衣装に身を包んだまるで道化師のような男でした。
彼は「報酬を頂けるならネズミを退治してみせましょう」と言いました。
街の住民は彼に報酬を約束してネズミ退治を依頼したのです。彼は持っていた笛を吹きはじめます。
すると街中のネズミが彼の元に集まってきました。彼はそのまま近くを流れるヴェーザー川に向かい鼠をみんな溺死させてしまいました。
見事に依頼を達成した笛吹き男は報酬を求めましたが街の人達は約束を破り報酬を払いませんでした。そして彼は報酬を手に出来ないまま街を後にしたのです。
月日は流れて運命の日である6月26日がやってきました。その日笛吹き男は再度街を訪れます。
その時間には住民達は教会でミサの最中でした。笛吹き男が笛を吹きながら通りを歩きます。
すると家に居た子供達がみんな笛の音に引き寄せられるように彼の後についていったそうです。
笛吹き男は山にある洞窟の中に入っていき中から洞窟の入り口を塞いでしまいました。そして彼も子供達も二度と戻ってくることは無かったそうです。
その時に居なくなった子供達は総勢130人だったと言われています。
これが「ハーメルンの笛吹き男」と言われる伝承の概要です。
この話はあの有名なグリム兄弟の手によっても記録として残されています。
さて、この笛吹き男は一体どうやって笛の音で子供達を連れ去ることが出来たのでしょうか。
娯楽の少ない時代だったが故に楽しげな笛の音に興味本意で子供達がついていっただけなのでしょうか。
今回は笛吹き男がどのようにして子供達を操ったのかを考えていきましょう。
笛吹き男は音による催眠効果を使ったのか
人だけではなく動物には五感があります。視覚、嗅覚に味覚、触覚そして今回注目しようとしている聴覚です。
ある男性が手を叩くと突然その男性の前に居た人が眠ってしまうというものを見たことがあるでしょうか。
そう催眠術と呼ばれるものですね。
人の記憶を辿るために年齢退行催眠なども実際に使われている催眠効果のようなものが音色に組み込まれてたのでしょうか。
しかし催眠術にそこまで詳しい訳ではないですが催眠術には暗示というものが必要だったかと思います。
久方ぶりに街を訪れた男はその音色に暗示までも組み込んでいたのでしょうか。それは難しいのではないかと思います。
ですがそれは難しいでしょう。なぜなら当時大人達は皆教会に居たとはいえ子供達は街中にいます。
つまりきっと大人達にもその音色が聞こえてしまっていたはずです。
しかしそんな問題すらも解決する方法を考えました。
まるで蚊の羽音「モスキート音」を利用した
人間が聞き取れる音の周波数は20Hzから20000Hzと言われています。
そして年齢を重ねるごとに高周波数の音が聞き取りにくくなると言われます。
16000Hzは20代までが聞こえると言われていてそれより高い18000Hzの音はモスキート音と呼ばれて大人には聴こえない大人のだそうです。
今ではいろいろな場面で応用されているこのモスキート音をハーメルンの笛吹き男は利用したのではないでしょうか。
もう説明は必要ないでしょう。いくら街中に彼の笛の音が響こうがその音色を聴くことが出来るのは子供達だけです。
教会に居る大人達には聞き取ることが出来ないのです。
このモスキート音を使えば子供達だけを誘い出すことも可能でしょう。
しかし実は催眠術には事前に暗示をかけておかなければいけないのだそうです。
もしかすると彼はネズミ退治の際に報酬が支払われないことを予測して事前に暗示をかけていたのかもしれません。
ただこうなると彼はいつ暗示をかけていたのでしょう。
退治の時に街を練り歩く際に街中に暗示をかけていたのでしょうか。それともモスキート音を吹きながら暗示をかけて歩いたのかもしれません。
ですがモスキート音の聴こえない大人達からすれば何の音も出ない状態で笛を吹きながら歩く男の姿は怪しさしかありません。
もしくは普通の音とモスキート音を吹き分けていたのかもしれません。
そこでそんな煩わしい問題を解決する方法を考えました。
低音と高音のハーモニー「ホーミー」を使ったのではないか
アルタイ山脈の民族に西部オイラト諸族と呼ばれる人達がいます。
その民族は独特の喉の使い方で高音と低音とを同時に発するホーミーと呼ばれる発声方法を使います。
正確にはホーミーを使うのではなくホーミーのように低音と高音を織りまぜた音色で演奏したのではないかということです。
笛吹き男は笛を使うので高音と低音とを同時に発するのは容易なことでしょう。
一度目に訪れた際には大人達に聞こえる音を使いネズミ退治しながら同時にモスキート音を使い子供達に暗示をかけていたのでしょう。
こうすることで報酬が支払われなかった場合の保険を大人に気付かれないように掛ける事は可能です。
しかし最大の謎は彼も一緒に洞窟の中に入り出てこなかったということです。
彼の目的は一体なんだったのでしょう。単に復讐のためだったのか。それとも別の目的があったのかは彼にしか分かりません。
そしてやはり子供は何にでも好奇心旺盛です。道路に飛び出したり危ない場所に足を踏み入れたりといつ危険な目に遭ってしまうか分かりません。
しっかりと子供を見守ってあげてほしい。それがこのお話の示すところなのかもしれませんね。
ハーメルンの笛吹き男は実話だと言われていますがあなたの周りには笛吹き男が現れない事を願ってこの話は終わりにしようと思います。
それでは今夜はこのあたりで。