謎に満ちた神様「荒脛巾(アラハバキ)」
その昔、陸奥戦国大名の伊達政宗が作ったと言われている忍者集団が居ました。
その名は「黒脛巾組(くろはばきぐみ)」と呼ばれていました。
この名前に出てくる「脛巾(はばき)」とは布で出来た脛当て(すねあて)の事です。
実はこの「脛巾」の神様がいるのをご存知でしょうか。
さすが八百万(やおよろず)の神が住まうと言われる日本ですね。いろいろな神様がいます。
その神様は「荒脛巾(アラハバキ)」と呼ばれています。
正確には足に関する神様で多賀城市の荒脛巾神社には足に着ける脚絆などが奉納されるそうです。
アラハバキを祀る祠は全国にあったそうなのですが時代の流れと供に数が減っていったということです。
この神様に関する記述が書かれた文献などはほとんど残っておらず特に神話などに登場する訳でもありませんでした。
つまりアラハバキは民間の伝承の中で神様へとなった存在なのです。
「足を運ぶ」や「足が向く」、「御足労」など日本では「足」という単語を来訪に関する言葉に絡めます。
この事から荒脛巾は「客人」の神様ともされてきました。
さて、それでは荒脛巾神は一体どんな客人を招くのでしょうか。
「アラハバキ」が招くのは「客人(きゃくじん)」なのかそれとも「客人(まれびと)」なのか
足の神様「アラハバキ」は同時に客人の神様ともされています。
商売にとって御客というのはとても大事な存在です。時折店内などで見掛ける「招き猫」も来客を招く縁起の良いものです。
きっとこの招き猫と同じようにアラハバキも来客を願い祀られていたのでしょう。
ただそれは「客人(きゃくじん)の神様」としてです。実は客人という漢字には違う読み方があります。
客人は「マレビト」と読むことがあります。
多くの来訪者の中で稀に訪れることがある者達。霊や神々の他に怪物、怪異といった魑魅魍魎など人に在らざる来訪者の事を稀人(まれびと)と呼びました。
そこから客人を時にマレビトと読むようになったのです。
ただ荒脛巾神は「荒」と付いていても悪い神様ではありません。台所を守ると言われる「荒神(こうじん)」もまた「荒」の文字を持っていても悪い神様ではないのです。
アラハバキは祖霊つまりご先祖様の霊を招き入れる神様だとも言われています。お盆の時期に帰ってくる祖霊が無事に家にたどり着けるように見守る神様なのでしょうか。
そういえば幽霊はよく足のない姿で描かれますね。
もしかすると足の神様「荒脛巾神」は祖霊が無事に帰れるように霊に足を与える神様だったりするのかもしれませんね。
そう考えるとアラハバキを邪険に扱ってしまうと悪霊に足を与えてしまうこともあり得るのかもしれません。
ですが未だそのほとんどが謎に包まれています。謎は謎はままに、触らぬ神に祟りなしということなのでしょうね。
それでは今夜はこのあたりで。