黄金比と白銀比 美しい比率達
季節はもうすぐ冬です。
朝起きると外には雪のカーペットが広がっています。
真っ白に広がるそのカーペットに一番はじめに足跡をつけたい。
雪の降る地域の子供なら一度は考えたことがあるかもしれません。
雪が降り積もった世界は白銀の世界とも呼ばれます。
白銀とは「はくぎん」とも「しろがね」とも呼びますが銀のことです。
銀(silver)と聞くと何人かの方は金(gold)を思い浮かべるかと思います。
この銀と金の関係性は一体なんなんでしょうね。
まったく別のものなのに同じように格式高いイメージが持たれライバルのような関係がしないこともない。
折り紙にも金色と銀色が入っていますがやはり他の色とは別格のように扱われています。
そんか銀と金は数学の世界でもまた近くもライバル的な存在なのです。
数学といってもいいのかは微妙なところですが今回は数学の世界での銀と金のお話です。
黄金比 その比率は目を奪うほどに美しい
物には形があります。形にも丸や三角形に四角形などいろいろあります。
おおざっぱですが家庭にある冷蔵庫やテレビなどは長方形の部類に入るでしょう。
四角形の中で縦と横の線の長さが違うものを長方形と呼びます。
そしてその縦と横の比率が1:1.618の長方形が一番美しいと言われます。
この「1:1.618」という比率を「黄金比」と呼びます。
「黄金比」が使われているのはなにも長方形に限ったものだけではありません。
その他の様々な形に応用することが出来ます。
黄金比というものを提唱したのは古代ギリシャのエウクレイデスという人物だと言われています。ユーグリッドと言ったほうが聞き慣れているでしょう。
実際にユーグリッドが提唱したのかは分かりませんが初めて黄金比を芸術に利用したのは同じく古代ギリシャの彫刻家であるペイディアスです。
他にも有名なミロのヴィーナスにも黄金比が利用されていると言われています。
黄金比を利用して描かれた黄金比螺旋と呼ばれる図形があります。
ですが文章で説明するのは大変難しいです。オーム貝という貝がいるのですがその貝の断面に非常によく似た図形です。
自然界にも完全とはいかなくても黄金比にかなり近い比率の形は多く存在しているのでしょう。
計算したわけではないですが富士山などももしかすると黄金比に近い比率で形作られているのかもしれませんね。
白銀比 その比率は溶け込むほどに親しみ深い
黄金比は貴金属比と呼ばれる比率達の一つです。つまり他にも貴金属の名を持った比率があるのです。
冒頭でお話した金のライバル的な存在の「銀」もその一つです。
そして銀の名を持つ比率の事を「白銀比」と呼びます。
「白銀比」の比率は「1:1+√2」及び「1:√2」となっています。
そしてこのふたつのうち「1:√2」の比率で描かれる長方形をルート長方形と呼びます。
ルート長方形は日本でも昔から美しい比率とされていて紙のサイズにも使われていました。
書道で使う半紙は元は24.24センチと33.33センチという大きさでしたがいつしか約25センチと35センチという大きさになりました。
これもまた白銀比に近い比率で作られています。白銀比は別名「大和比」とも呼ばれています。
実は皆さんがよく目にする物にも白銀比が使われています。
それはコピー用紙や大学ノートなどの紙です。
紙のサイズにはA4やB5というものがありますがこれらのサイズは全て白銀比を元に作られています。
普段から目にしていて気が付かないかもしれませんが実はすぐそばに美しい形が存在しているのです。
なぜ人が形や色に心を魅了されるのか。なぜ人によって好きな形や色が違うのか。それはまた別の機会に考えることにしましょう。
目の前に広がる世界の中にもきっとあなたが当たり前だと思い込んでいる美しさが隠れていることでしょう。
貴金属よりもずっと美しい何かが。
それでは今夜はこのあたりで。