「インボルク」とはケルト民族が春の訪れを祝うお祭り

インボルク(インヴォルク)とはどんな祭りなのか

世界中にはいろいろな民族が住みいろいろな文化があります。
そして不思議なものでほとんどの民族に祭りや何かを祝うという風習があるのです。

今回紹介するインボルクはケルト民族が春の訪れを祝うお祭りのことです。
祭りが生まれたのはアイルランドで火や鍛冶、家畜、収穫を司る女神ブリギットを祝うものです。

毎年2月1日がインボルクの日とされていて祭りの名前は羊の出産を指しています。

なぜ2月1日なのかというのはキリスト教の聖人である聖女ブリギッドとケルト神話の女神ブリギットがいつしか同一視されたことにより聖女ブリギッドの聖日である2月1日が女神ブリギットを崇めるインボルクの日となったそうです。
農民達は春の訪れと共に種をまきます。しかしその前に大切なことがあります。
それは土地を浄化することです。春が目前へと近付いたインボルクには皆がたいまつを持ち行列を作り火により土地を清めると共に収穫を司る女神ブリギットに願いを捧げるのです。

インボルクは暖炉と家族の祭りでもありその年の運勢を占う時でもあります。
火占いとでも呼べば良いのでしょうか。彼らは蝋燭の火や焚き火、そして暖炉の火によって自分達の一年を占うのです。

実はこの暖炉とインボルクには深いつながりがあります。正確には暖炉と女神ブリギットでしょうか。

次はそのお話をしていきましょう。

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春と光をもたらすブリギットの伝説

春の訪れを祝うインボルクには暖炉が欠かせないと話しましたがこの暖炉こそがブリギットの加護を受けるために必要なものなのです。

まず未婚の女性や少女がブリギットの人形を作ることから始まります。この人形はブリデオグと呼ばれていて石や貝などで装飾が施されています。

そして1月31日の夜に手作りのベッドに人形を寝かせます。ベッドは暖炉の近くに置かれてミルクやバターなどを供えられます。
次に家の長が暖炉の火を消して灰を平らにならします。
そして最後に布もしくは服を一着用意して家の外に捧げておくのです。ちなみにこの時用意する布、服は家族の人数分必要です。

次の日の朝がやってきます。目を覚ましたらまず暖炉の灰を確認します。もし灰に何かの跡が残っていたらそれは夜にブリギットがやってきたということなのだそうです。
この時外に捧げておいた布や服にはブリギットの加護や癒しの力が宿っているそうです。

暖炉に足跡がついているということはブリジットは煙突から入ってきたのでしょうか。まるでサンタクロースみたいですね。
そしてインボルク当日になると少女達はブリギットの人形つまりブリデオグを持って街にある家々を訪ねます。

ブリギットは女神であり聖女でもある大変崇高な存在です。人々はブリギットが家にやって来ることを喜び彼女を連れてきてくれた少女達にお菓子をあげるのです。

どこかハロウィンに似ていますね。それもそのはずハロウィンも元はインボルクと同じケルトの風習なのですから。

それにしてもケルトの文化は人の繋がりを大切にするものが多いように思います。

光の季節である春をもたらす女神ブリギット。

彼女が本当にもたらしてくれるのは人の心を照らす光と温もりなのかもしれません。

それでは今夜はこのあたりで。

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