「蘭奢待」崇高な香りは不幸を呼ぶ危険な香り

古の香りを聞く古から伝わる文化「香道」

日本語の表現は本当に不思議なものです。香りや匂いは嗅ぐものですがそんな香りを「聞く」と表現する文化があることをご存じでしょうか?

日本には弓を極める「弓道」華を活かす「華道」書を創り出す「書道」などたくさんの文化があります。
そして香の道と書いて「香道」と呼ばれる文化があります。
それこそが香りを聞き香りを楽しむ文化なのです。

ですがただ楽しむだけではありません。

香道に使われるのは沈水香木と呼ばれる木が長い年月を経て樹脂化したものです。
沈香とも言われますがこの樹脂は木が雨風や虫によって傷を受けたときの木自身の防御作用によって染み出たものです。

この樹脂は熱したときに香りを発します。その香りを聞き楽しむだけではなくその中から自然の恵みや偉大さを聞き取るのだそうです。

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伽羅の中の伽羅「蘭奢待(らんじゃたい)」と不幸を呼ぶ香り

世の中にはいろいろな規格があり序列があるものです。
それは沈香も例外ではなく質の良いものは伽羅(きゃら)とよばれ珍重されます。
そんな伽羅の中でも特別扱いされている沈香が東大寺の正倉院に保管されています。

黄熟香という名の香木は別名「蘭奢待」よ呼ばれその名前には東、大、寺の漢字が隠されています。

その香りは天下一とされ数々の有名人が切り取り持ち出しており現在の姿になったとされています。
有名なところでは足利義満、織田信長、明治天皇でしょうか。
これまでに切り取られた回数は50回以上だということです。

そして天下一と言われるこの香木には実は一つの噂があります。この香木を切り取ると不幸が降りかかるというのです。
ただの噂なのでしょうがあの徳川家康は蘭奢待が正倉院にあることを突き止め事の詳細を調べさせた結果切り取ることを諦めたのだそうです。

最高の香りが運ぶ不幸の噂。蘭奢待は簡単に切り取るようなことは出来ないので実証のしようもありませんが火のないところに煙は立ちません。
きっとこの長い年月の間に噂が立つような出来事があったのでしょう。


ただ香りを追及する者にとっては不幸になったとしても一度は聞いてみたい香りなのかもしれません。

皆さんも良い香りを聞きたいがために不幸に足をすくわれないようお気をつけを。



それでは今夜はこのあたりで。

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