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死神の持つ鎌は魂を刈り獲るもの
生けとし生けるものにはいずれ死が訪れます。死が訪れるその時にあるものが同時に訪れます。
そのものの容姿は骸骨で漆黒のローブを身に纏っています。そして手には大きな鎌を持っています。
これが俗に言う「死神」と呼ばれるものです。
今お話しした容姿は古来より伝わるオーソドックスなものなのでその姿は時代と共に多少変化していて現在では黒いスーツを着ていたりするかもしれません。
しかし死神には実は「最高神の農夫」という通り名があります。そのため時代と共に容姿は変われど手には何かしらの農具を携えていることでしょう。
そんな死神ですがいったいどのような存在なのでしょうか。
死神とは一言で言うなら「魂を管理する者」です。そしてそのイメージから幽霊に近い存在のように思われがちな感じもしますが実はしっかりとした神の一人なのです。
死神の持つ鎌は一度振り上げられ降り下ろすことで必ず何かの魂を刈り獲るとされています。
しかし死神の本当の役割は死を迎えるものの元に出向き魂を常世や冥府、つまりあの世に送ることです。こうすることによって魂が現世に残って悪霊になってしまうのを防ぐのです。
この役割を知れば悪いイメージばかり先行している死神の見方も少し変わったのではないでしょうか。
死神は決して下等なものではありません。「死」は「生」と同等もしくはそれ以上のものと考えられる事があります。
その死を司ることが出来る死神は神々の中でも上位に位置する存在なのでしょう。鎌を持った姿が写った心霊写真などがありますがもしかすると悪い意味を持った写真ではなくあなたに憑いた霊を迎えに来た死神が写ったものなのかもしれません。
しかしこれまで紹介した死神についての事は西洋での話です。日本を含む東洋には全く違う性質を持った死神が存在するのです。
日本の死神は人を死へと誘うもの
今を遡ること約200年。天保の時代に書かれた書物に「絵本百物語(えほんひゃくものがたり)」というものがあります。
この書物は今まで何度か紹介したことのある「今昔画図続百鬼」の作者がいくつか出した書物のなかで最初に刊行された「画図百鬼夜行」という書物を意識して作られたと言われています。
書物の説明はいずれ詳しくお話しするとしてこの「絵本百物語」に「死神」について書かれている項目があります。
ここに書かれている死神は魂を常世へと誘う西洋の死神とは全く違うものです。
その内容とは悪い念を持つ魂は悪い念を持つ生者の魂に呼応して悪いところに導くというものです。
つまり悪いことが起きた場所では同じように悪いことが起こりやすいということなのです。
そしてその悪い念を持つ魂が死神とされています。
また死神とは人に憑いて人を死へと誘う神だともされています。
死期を迎える魂を迎える西洋の死神と生者を死へと誘い自ら命を絶たせる東洋の死神。同じ死神でも全く性質の違うものですね。
以前タナトスとヒュプノスの兄弟についてお話したことがあります。ギリシャ神話に登場するタナトスの役目は死者の魂を迎えに行くことです。そのためギリシャ神話ではタナトスは死神とされています。
しかし心理学用語でのタナトスは「死の衝動」「破壊衝動」を意味します。人の死を望む心や自らを破壊したくなる欲求を指す言葉です。こちらは東洋の死神が持つ性質と酷似しています。
だからなんなのかと言われても困ってしまうところですが今回はうまくまとまらないままで終わろうと思います。
これを機に死とはなんなのかと考えるきっかけにでもなったなら幸いです。
やはり話はまとまらないままですが。
それでは今夜はこのあたりで。