機械を超える 人が持つ大切な音と必要のない音を聞き分ける力
あなたは今駅を下りて家路を歩いています。あなたは薄暗い路地に入りました。
聞こえてくるのは通りを通る車の音と街灯から聞こえる低く震えるような音。そして路地を抜ける風の音です。
いつもと変わらない道をいつもと変わらない音を聞きながら歩いています。
今何かの微かに足音のような音が聞こえた気がしませんか?
ほんの微かな音ですがたしかに聞こえました。
前には誰も居ません。ということはあなたの後ろでしょう。
この時あなたはどうしますか?
まずは音が実際にしたのかを確認しようとするでしょう。
あなたは足音に集中して耳をすませます。
通りを行く車の音も風の音も小さくなりやがてほぼ無音の状態になります。
そしてあなたは確信するのです。やはり足音がしていたことを。
このような状況は結構な方が体験したことあると思います。
この状況からも分かるように人は聞きたい音だけを聞き、聞きたくない音は遮断することが出来るのです。
当たり前のようになっているからこれがどれほどすごいことなのか分からなくなってしまっているのです。
機械ではこうはいきません。まずマイクから入った全ての音を録音します。そして全ての音の中から必要な音を残し消してしまいます。それをスピーカーから出すことで聞きたい音だけを聞くことが出来るのです。
人はこの一連の行程を瞬時に連続して行うことが出来るのです。
聞きたくない音と聞く事を忘れてしまった音
誰にでも気になるヒソヒソ話や好きな人の声など聞きたい音はたくさんあると思います。
ですがそれと同じくらい聞きたくない音もあると思います。
叫び声だったり誰かの小言だったり耳を塞ぎたくなる瞬間は誰にでもあります。
さらに聞きたくない音では聞いてはいけない音もあると思います。
それはこの世生きるものが発するものではない音です。
俗に言うラップ音とはまた違います。
幽霊が動いたり話したりするときに発する音です。
実際にそんな音があるのかは聞くことが出来ないのでわかりません。
ですが幽霊がいるのであればそこにはきっと音があるはずです。ではなぜ人の耳には聞こえないのでしょうか。
もしかすると聞こえないのではなく幽霊の音を必要ないものだと遮断してまい聞くことをやめてしまったためにやがて聞こえなくなってしまったのではないでしょうか。
動物は霊の存在に反応すると言います。動物が匂いで感じ取っているのか音で感じ取っているのかはわかりません。
ですが人が感じ取れないものを感じ取っているのです。
実は人間も体が危険を感じ取ると聴覚と嗅覚がものすごく敏感になると言います。これは特に女性にみられる現象だそうです。
もしあなたがひとりでいるときにあなたが自分で感じるより先に本能が危険を感じ取っていたとしたらどうでしょう。
薄暗い路地や誰もいないはずの部屋で聞いたとしましょう。
その音はもしかすると危険を感じて聴覚が敏感になったために聞こえた音かもしれません。
いつの間にか聞き方すら忘れてしまった聞く必要のない、聞いてはいけない音が…
そしてそれらの音に耳を傾ければいつでも聞けるのかもしれませんね。
ただ気を付けてください。一度耳を傾けてしまえばこれから先もずっと聞こえることになるでしょうから。
それでは今夜は…………