Contents
「金霊」それは金運を上げてくれる良い妖怪
二十四節気の夏至も過ぎてこれからはどんどん日の入りの時刻が早くなってきます。
日の入りそれは逢魔時(おうまがとき)と呼ばれる時です。かねては逢禍時と書かれていたようにこの時間は現世(うつしよ)と常世(とこよ)の境が弱くなり魑魅魍魎や妖怪と出会いやすいとされています。
妖怪と聞くと怖いや気持ち悪いなどの悪いイメージを持たれがちですが実は悪い妖怪ばかりではないのです。
今回お話しするのはそんな妖怪の中でも福をもたらしてくれる妖怪についてです。
その妖怪の名前は「金霊(かねだま、かなだま)」と言います。名前にある金の文字と良い妖怪ということでお察しの方もいらっしゃるでしょうが金霊は金運を上げてくれる妖怪なのです。
金霊は主に家に憑く妖怪です。この妖怪が憑いた家は栄え莫大な富を手に入れられると言われています。
しかし金霊が取り憑く家には特徴があります。それは善行を行っていることです。それも無欲でです。
無欲善行こそが金霊を呼ぶ方法なのです。無償の行為というのは美しいですがなかなか難しいものです。
金霊が憑き栄えた家でも欲が出てしまうと金霊は去っていき家は廃れてしまうと言われています。
金霊の姿とその正体
金霊の目撃例は意外と多く存在します。「今昔画図続百鬼」の明の部にも金霊が訪れた家が小判で溢れる様子が描かれています。
東京都の青梅市でもぼんやりと見える金霊が目撃されており見ると幸せになれると言われています。
他にも江戸時代に現れた金霊は「銭神、銭霊」とも呼ばれていて庭先に現れた金霊を刀で切った際にたくさんの金銭を落としていったという話も残っています。
しかしこの金霊は光る玉のような容姿をしており怪火の一種だともされています。
東京都足立区や静岡県沼津市でも目撃されていてその玉は轟音と共に空からやって来るという話もあれば毬程度の大きさの玉でそれを手に入れれば大金持ちになれるともいわれています。
江戸時代の文献にもこのような事象は記載されていて千葉県の農民が空から大きさな音とともに赤く光る玉が落ちてくるのを目撃してその玉を持ち帰り家宝にしたというものです。
「空から轟音と共に降ってくる赤く光る玉」
あなたは一体何を想像しましたか?実は金霊の正体は隕石ではないかと言われています。
隕鉄はツタンカーメンの短剣や流星刀と呼ばれる日本刀にも使われている希少な物質です。
手頃なものはそれなりの価格で買うことが出来ますが中には破格の値段がつくものまであります。
そのような隕石ですので手に入れることが出来ただけでかなり幸運なのでしょう。
しかし金霊が隕石だと考えられている一方で薄ぼんやりと現れる姿や刀で切られて金銭を落とす姿も目撃されています。
隕石ではなく妖怪としての金霊も存在すると信じたいものです。ですが金霊に家に来て欲しいと望む気持ちを持ってしまう事自体が金霊を遠ざけてしまうのも事実です。
金霊はきっと忘れた頃にやって来る。そんな存在なのでしょう。
それでは今夜はこのあたりで。