マイナスイオンとはどんなものなのか
食欲の秋、芸術の秋などいろいろ言われていますが秋は行楽のシーズンでもありますね。
紅葉を見に行く方も多いでしょう。しかし紅葉を見に山に入ると結構な確率で滝があります。
滝を眺めるのもいいものです。荘厳な水の流れと目を見張る大きさ。そして何よりマイナスイオンがいっぱいです。
マイナスイオン…よく聞く言葉ですが一体どんなものなのでしょう。
ということで今回はマイナスイオンについてお話ししましょう。
そもそもマイナスイオンとはなんなのでしょうか。イオンとはなんなのでしょうか。
イオンとは簡単に説明すると電気を帯びた原子の事です。電気を帯びると言っても触って感電するほどの電気ではありません。
原子は正電荷の原子核と負電荷の電子で成り立っています。
この内の負電荷の電子が放出されると電荷が正に偏ります。これが陽イオンと呼ばれる物です。
逆に電子を受け取ると電荷が負に偏ります。こちらが陰イオンです。
実は今回お話するマイナスイオンと言われているものはこのどちらでもありません。
大気電気学の世界ではこれらイオンの呼び名が変わり陽イオンを正イオン、陰イオンを負イオンと呼びます。
よく耳にするマイナスイオンとはこの大気電気学でいうところの負イオンのことで原子レベルでイオン化しているものを指している訳ではなく帯電した分子を指しています。
日本語では正と陽、負と陰に分けられますが科学的には陽イオンも正イオンもカチオン。負イオンも陰イオンもアニオンと呼ばれます。
マイナスイオンはどうやって出来るのか
よくマイナスイオンが多い場所として挙げられるのが滝ですがこれは本当です。正イオンや負イオンという大気イオンは主に電離作用によって作られますがこれにはコロナや放射線が関係しています。
ちなみに今お話ししている滝で発生するマイナスイオンは「レナード効果」によるものです。
レナード効果について簡単に説明しますと水滴は表面が負電荷、内部が正電荷になっていてこの水滴に衝撃を加え分裂させると大きな粒子は正に帯電し細かい粒子は負に帯電するというものです。
この効果を利用してマイナスイオンを発生させる方法を水破砕方式と呼びますがよく電気量販店で目にするマイナスイオンを発生させている器具などもこのレナード効果を利用したものが多いです。
他にも観葉植物がマイナスイオンを出していると言われますがあれは植物が行う蒸散によるものです。
そしてこの水破砕が常に起こっているのが滝なのです。
流れ落ちる水から水滴が生まれその水滴がさらに分裂してどんどんとマイナスイオンが作られているのです。
さて、ここで「滝でマイナスイオンが発生するなら雨でも発生するの?」という疑問が発生する方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん雨でも発生します。しかし湿度が高いと負に帯電した粒子が再接合してしまいます。こうなるとマイナスイオンとして存在する時間が極端に短くなってしまうのです。
これは雨だけではなくシャワーなどでも同じことです。
先程から負に帯電した粒子と書いてますが負に帯電するのはほとんど目に見えない程の小さな粒子のことです。ですので目に見える霧や水しぶきはまず正に帯電した正イオンだと言えるでしょう。
極論から言えばあなたがマイナスイオンを求めて滝に行ってももし雨が降っていたりしたならばそこには正イオンつまりプラスイオンがいっぱいだということになります。
マイナスイオンの効果と科学的根拠
ここまでイオンについて説明してきましたが実はマイナスイオンつまり負イオンにはいろいろな効果があるとされています。
物を浄化する力つまり殺菌作用のような効果があると言われたり生体の寿命を延ばしたり成長を促進する効果まであるともされています。
正イオンには興奮作用、負イオンには鎮静作用があるという報告もあるそうです。これはまさにマイナスイオンでリラックスまたはリフレッシュしようということなのでしょう。
しかし残念なことにマイナスイオンの効果には未だ科学的根拠がないのです。故にニセ科学やオカルト科学などとも言われています。
観葉植物の近くに居てリラックスしているだけでマイナスイオンとは関係ないかもしれません。それに緑という色は人の心を落ち着ける効果がありますのでそのためかもしれません。
それらが実際にマイナスイオンの効果によるものだと証明出来ないのです。
ただ滝の近くはマイナスイオンが多いことは間違いありません。そして人にとって心の鎮静は大切です。
都会の雑踏を離れてやってきたのは静かな山の中。聞こえるのは鳥のさえずる声と流れる水の音。
時にはリラックスのために滝に行ってみてはどうでしょうか。
マイナスイオンという言葉を忘れて。
それでは今夜はこのあたりで。