妖精の世界への入り口「妖精の輪」を探してみよう

妖精の世界への入り口が開くとき

「現世」と書き「うつしよ」と読みます。それは我々人間の住む世界の事です。

現世とは違う隣り合わせのもうひとつの世界があります。それを「常世」と書いて「とこよ」と呼びます。

「常世」とは人に在らざるもの達が住む世界の総称です。魔界や天界、精霊界も常世になります。
そんな常世の中には妖精達の住む世界も含まれています。

妖精の中にはイタズラ好きの種類も居ますがほとんどの妖精は親切で陽気、歌や踊りが大好きだそうです。
人間との交流も大好きで出会うことが出来ればきっと楽しい時間を与えてくれることでしょう。


アイルランドの伝説では妖精達は冬の寒く暗い時期は妖精界へと閉じ籠ってしまいますが太陽の輝く季節になると人間界である現世にやって来ると言われています。

妖精の輪が開く時期は年に何度かあります。まずはその時期についてお話ししましょう。
ケルトの一年は冬から始まります。11月1日にあたる諸聖人の日が1年の始まりなのです。


まずケルトのクロスクォーターデイズであるインボルグにも妖精の輪が開くと言われています。
インボングは日付に少しズレがありますが2月1日及び2月2日になります。

実はこの日にも妖精の世界への扉は開きますがこのインボングはまだ春という訳ではありません。
インボングに人間界に来た妖精は曇りだと人間界に留まりますがもし晴れているとは自分の影に驚いて妖精界へと引き返してしまうのだそうです。


次は5月の1日メイデーです。ケルトの祭りベルティナの行われる日ですね。
正確にはその前日の4月30日の日没から妖精の輪は開きやすくなります。
それは現世と常世の境目が弱くなると言われているためです。
俗に言うワルプルギスの夜のことですね。春を迎え妖精達が活発に動き出す時期でもあります。


その次は夏至の日です。ケルトのクォーターデイズのひとつですね。
北半球では年間で一番太陽の出ている時間が長い日です。この夏至の正午には妖精の輪が開くそうです。
太陽が真上にあると言うことは影が一番短くなるときです。先程のインボングの話でも影の話をしましたが妖精は影が嫌いなのでしょうか。


そして次が1年の終わりである10月31日です。諸聖人の日の前日になります。ケルトの祭りサーウィンの当日です。
諸聖人の日はオール・ハロウズ、ハロウマスとも呼ばれます。その前日をハロウ・イブと呼びます。それがいつしかハロウィンと呼ばれるようになりました。
勝手な想像ではハロウとサーウィンが混ざってハロウィンになったのではないかと思います。


このあたりがアイルランドの伝承に残っている妖精の世界への扉「妖精の輪(フェアリーリング)」の開くときだと言われています。

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妖精の世界への扉「妖精の輪」を見つけてみよう

通称「妖精の輪(フェアリーリング)」と呼ばれる妖精界へと続く扉があります。
では実際にどうやって見付ければ良いのでしょう。

冒頭でもお話ししましたが妖精達は歌や踊りが大好きです。
満月の夜にはみんなで輪になり踊るのだそうです。
そう、輪になり踊るのです。実は妖精の輪と呼ばれる由縁はここにあります。

妖精達が輪になり囲うその範囲こそが妖精界へと続く入り口なのです。
しかしここで問題が出てきます。妖精の姿というのは本来人間には見えるものではありません。

つまり輪になって踊っているその姿も人間には見えないのです。

もし妖精の世界へと行きたい人ならこの見えない扉に不意に足を踏み込んでしまっても良いでしょう。
しかしそんなつもりもないのに突然妖精の世界へ行ってしまうのは困ったものです。
それはまるで完全に地面に擬態した落とし穴のようなものですね。

それでは結局妖精の輪は見付けられないということなのでしょうか。
ですがご安心ください。妖精の輪は見付けられなくとも妖精の輪があった場所は見付けることが出来るのです。

それは地面に変化が起こるためです。

その変化とは「一部だけ円形に草が生えていないところがある」「円を描くようにキノコが生えている」などです。

こうした現象が起きている場所は妖精の輪があった可能性があります。

ただこれはあくまで可能性です。というのも「円形に草が生えていない場所」や「円形に生えるキノコ」は科学的にも立証できるためです。

ナミビアに現れる円形に草が生えない「妖精の輪」はシロアリが原因であると考えられてもいます。
キノコに関しても胞子を円形に撒くために円を描くように生えることもあります。ちなみにこのような現象を「菌輪(きんりん)」と呼びます。


しかしなぜ妖精達は羽があったり小さな体で描かれたりしたのでしょう。
それはもしかすると実際に見たり触れたりしたことがある人間がいるからなのかもしれません。

先程も言いましたが妖精の輪は痕跡は残しても人間の目には写りません。
あなたがもし突然知らない場所に迷いこむことがあったとしたらそれは見えない扉「妖精の輪」に足を踏み込んでしまったのかもしれません。


それでは今夜はこのあたりで。

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