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苦しみの連鎖が終わらない地獄はそんな場所
仏教の世界には六つの世界があります。以前お話しした「六道」のことです。人はこの六つの世界を巡り続けると言われていますがこの六道の一つが俗に地獄と呼ばれる「地獄道」なのです。
地獄には絶え間なく続く苦しみが待っています。逃げ場のない鬼に与えられる苦しみです。
冥界の主であり現代で言うところの裁判官「閻魔大王」
人は六道を巡ります。ですがこの六道を巡る旅で次の行き先を決めるのは一体誰なのでしょうか。
それは閻魔と呼ばれる神様です。閻魔大王と言えば誰しも聞き覚えがあるでしょう。閻魔大王は冥界にやってきた死者の魂が持つ生前の罪を裁きます。
そして重い罪を背負った魂は地獄へと送られるのです。
閻魔大王もたまには疲れてしまう時があるのです
人は誰しも様々な重さの罪を持っているものです。閻魔大王はその罪を裁きます。来る日も来る日も裁き続けます。
毎日休む間もなく訪れてくる死者の魂。それを裁き続けるというのは並大抵の精神力が必要でしょう。さすがは神様といったところでしょうか。
地獄にいる鬼達も同じです。毎日毎日魂を苦しめるために休むことなく責め続けます。よほどの精神を持ち合わせていなければ人の苦痛に歪む顔を見続けるなど難しいことでしょう。さすがは鬼といったところでしょうか。
ですがそんな神様ですら時には休みが欲しくなるときがあります。もちろん鬼達も同じで休みが欲しいでしょう。
だから閻魔大王は決めました。
「1月16日と7月16日は地獄の定休日」
地獄の定休日 名前は「閻魔斎日」
地獄の定休日は決まりました。そしてその日は「閻魔斎日」と呼ばれています。
閻魔は分かりますが「斎日」とはどういう意味なんでしょうか。斎日という漢字はその読み方で意味が変わってきます。
この場合は「斎日(さいにち)」と呼びます。斎日とは仏教の世界に出てくるものでこの日は殺生を行ってはいけない日と言われています。
つまり「閻魔斎日」は閻魔大王が殺生を行わない日という意味なのです。
地獄の釜の蓋が開くとき
閻魔斎日には地獄の釜の蓋が開きます。蓋が開けば地獄にいる亡者達の魂が解放されます。もちろん解放された魂はこの世にもやってきます。今まで地獄へ送られた無数の魂が世界中に溢れかえるのです。
以前に常世(とこよ)と現世(うつしよ)の話をしましたがこの地獄の釜の蓋も二つの世界を隔てる扉なのかもしれませんね。
閻魔斎日には海に行かないで
亡者の魂が溢れかえる閻魔斎日には海に行ってはいけないと言われています。魂はいずれ水を求め海に辿り着くからだそうです。
閻魔斎日である7月16日ですがこれは太陰暦つまり旧暦です。
太陽暦を使う現代ではこの7月16日は多少の誤差がありますが8月の中旬あたりになります。8月中旬というと「お盆」ですね。
迷信などで「お盆の海に行ってはいけない」と聞いたことはないでしょうか。この迷信は閻魔斎日にちなんだものなのです。
海にはよく霊がいると言われています。海に行かれる際には相応の準備と入念や準備運動をお忘れなく。もしかすると霊に足を引っ張られたのではなく足がつったのかもしれませんから。
それでは今夜はこのあたりで。